【d!】ガラスの靴が割れた。 (ページ4)

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❥2　お手紙ページ4

チュンチュン

小鳥の鳴き声で目を覚ます。
時刻は午前5時。本来起きる時刻の一時間ほど前だ。

『はぁ…。』

静かに大きく溜め息をはく。
少し前までは，朝も楽しみの時間だったのに。

私は顔を洗い，身だしなみを整える。
流石にウツ様にこんな酷い姿を見せるわけにはいかない。
心配…されるかは分からないけれど，面倒事にはなりそうだから。

コンコンコンと扉をノックされる。

現在は7時すぎ。おそらく扉越しにいるのはメイドさんだろう。ウツ様はあれでもお忙しい。朝ご飯をともに食べることもできないほどには。

『どうぞ。』

「失礼します」と入ってきたのはやはりメイドさん。
その中でも，私専属のメイド…メイさんだった。

『メイさん。どうかなさいましたか？』

「朝食を持ってまいりました。そろそろかと思いまして。」

…確かに，お腹は空いていた。メイさんは私のことを私以上に良く知っている。まだ専属になって半年も経たないのに。

『ありがとうございます。』

「あ，そうそう。それと…こちら。」

そう言ってメイさんが渡してきたのは…。

『…手紙，ですか？』

「ええ。おそらくそうかと。シンデレラ様宛に届いておりましたので。…では，失礼いたしました。」

メイさんはそれだけを告げ，帰ってしまった。

封筒には「敬愛なるシンデレラ様」という宛名しか書いておらず，送り主の情報は一切ない。…本当に誰なのかしら。

私は手紙の封を開ける。

『っ…何，これ…？』

…封筒の中に入っていたのは数枚の私の写真と手紙だった。しかも，どの写真も私の目線が向いていない。

そして，手紙の中には―

「愛してるよ，“A”」

…メッセージカードにただ，それだけが書いてあった。

どうして，私の本名を？お義母様に引き取って貰ってからはその偽名を使っていたのに。もうかなり前のことよ？

そして，この写真。私がウツ様とお話してる写真。
メイさんとお買い物をしている写真。城下町の子供たちと遊んでいる写真。偶然撮れたものとは思えないものばかり。

もしかして，この送り主は…

『ストーカー…？』

…私の，ストーカーなのかもしらない。