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7、安直でいて ページ7

「大丈夫ですか?」

私は三好の言葉に軽く頷く。

「まったく、面白いものが見られるって言うから来てみれば・・・」

実井は呆れ返った様に、やれやれと腰に手を当てかぶりを振る。

「なあ、これじゃ俺たち必要無かったんじゃねえの?」

床と仲良しになった男を革靴の爪先で蹴りながら波多野が言った。

「あくまで僕らはここの粗大ゴミを掃除する為に呼ばれたんでしょう?」

「私は貴方しか呼んでないわ、三好」

ベッドから立ち上がると、安いベッドのスプリングが軋む。

「銃を使う程、彼等が莫迦だとは思わなかったけれど、」

「これからお楽しみ、というわけにはいかない様ですね」

私の言葉を遮って発せられた言葉に、私は首を横に振る。

「残念ながら」

三好はくっくっと人を虚仮にする様に静かに笑う。

それから、不満気に壁に寄り掛かる実井と波多野に

「助けて下さって、どうも有難う」

と、礼を言った。

「いいえ」

「どうも」

二人とも退屈そうに部屋に視線を走らせる。

「さあ、実井、波多野。床と仲良しになっている粗大ゴミを片付けましょう」

二人は盛大な溜息と舌打ちをすると、男達を足蹴にして、ひょいと持ち上げ部屋から運び出す。

そんな彼等を見届けて、三好が口を開く。

「貴女が一番人使いが荒い」

「そうかしら」

「でも、」

私は彼に一歩近づき、耳元で囁く。

「あれが一番、効果があるでしょう?」

彼は納得がいった様に口角を上げる。

「成る程、貴女に近づく不届き者があんな風に伸されたとなれば、貴女へのハラスメントが減ると、」

「実に安直だ」彼は再び、私を虚仮にした様に笑う。


「でも、貴方や実井、波多野は私の安直でくだらないお遊びに付き合ってくれたのでしょう?」

彼の瞳を覗き込む様に顔を近づける。でも彼は、私の顔ではなく、手を見つめていた。

いきなり、左手を掴まれた。
掴まれた、といっても振り解こうと思えば振り解ける程の力加減だ。優しい、壊物、硝子細工に触れる様な触れ方。


私の目に、スローモションの様にそれは映った。



三好が、私の左の手の甲に、優しく口づけた。

8、微熱→←6、娯楽の中身



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設定タグ:ジョーカー・ゲーム , D機関 , 枇杷島   
作品ジャンル:アニメ
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枇杷島(プロフ) - 凄く嬉しいです。楽しい作品に出来ているようで安心しました。お褒めのお言葉、ありがとうございます! (2016年9月29日 23時) (レス) id: 841cd86dfc (このIDを非表示/違反報告)
野崎 - 何度見ても面白いし表現が色っぽくてすごいなあと思いながら見てます!更新楽しみにして待ってます。頑張ってください! (2016年9月29日 23時) (レス) id: a382114b2a (このIDを非表示/違反報告)
枇杷島(プロフ) - レンさん» ありがとうございます! 私も誰落ちとかは兎も角、死人は出したくないなって。ご意見、ありがとうございました。 (2016年8月23日 0時) (レス) id: 841cd86dfc (このIDを非表示/違反報告)
レン - 三好オチかどうかは別として生きててほしいです。 (2016年8月23日 0時) (レス) id: 6d1b932390 (このIDを非表示/違反報告)
枇杷島(プロフ) - ありがとうございます!私も悲しい話は苦手なので、生きてる方が良いなと考えてます。 (2016年8月20日 10時) (レス) id: 841cd86dfc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:枇杷島 | 作成日時:2016年8月16日 0時

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