籠の中のラプンツェル

2、釘付け ページ2

試験会場にいたのは、数十人の男と一人の少女。

少女は難解な筆記試験を難なくこなし、可笑しな面接試験ー 階段の数、地図中の小さな島の場所、その地図の下にあったもの、などをすらすら答えた。

紺色の地味なワンピースを身に纏い、結われた長い黒髪はミステリアスな印象を与えたが、常に俯き加減で話すことと、眼鏡が邪魔して顔はよく見えない。

「合格だ」

結城中佐の声に小さく頷くと、少女は彼の後ろにさっと隠れた。


その後も試験は恙無く進み、結果的に半分程の学生が残った。

少女は彼等と並び、真っ直ぐ結城中佐を見つめる。

その時、少女をよく観察出来たものはすぐに理解した。

少女がとても美しいことに。

小柄な痩躯、艶かしい印象さえ与える白磁の肌に長い黒髪。
大きな瞳、その瞳に影を落とす長い睫毛。紅を引いた様に紅い小さな唇。通った鼻筋。


俯き加減で話すことも、眼鏡をかけていることも全てがカモフラージュだったのだ。


まるで、人形。
作られたような美しさ。


女が存在しない筈のD機関にいた、美しい一人の少女。


謎めく組織に、謎めく少女。


ミステリアスな組み合わせは、後に波乱を巻き起こす。

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