spring.74 ページ26
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望が帰ったであろう家の中は静かで、
ママの「おかえりー」の声でハッとする
お兄ちゃんがバイトから帰ってきた
私は急いで鏡の前に行き流れっぱなしの涙を拭う
階段の登る足音が近づいてきてガチャッとドアが開く
照「Aーただいまー!」
咄嗟に私は笑顔を作った
「お兄ちゃん、おかえり!」
照「ご飯やってー!下おり?」
「きょ、今日友達と寄り道してお腹すいてないねん!ママに伝えといて!」
照「寄り道?珍しいやん!ほな、腹減ったらおりてきーやー」
そう言ってお兄ちゃんは部屋を出る
自然に笑顔で話している自分を褒めた
もう寝てしまおうとベッドに入ったものの
さっきの光景が蘇ってベッドから飛び降りる
その日はお兄ちゃんの部屋のソファで寝た
私が「お兄ちゃん、今日こっちで寝てええ?」って言ったら
不思議な顔をしたけどお兄ちゃんは何も聞いてこなかった
かなり早く目が覚めて、お兄ちゃんを起こさないように自分の部屋に戻る
そのあと私は自分の部屋の机に座り今日これからの事を考えた
まず、岡田くんの告白は断ろう
望とは昨日何もなかった
望は私の家にすら来てない
そう決めた。
どれだけ酷いことをされても望と気まずくなることを考えたら嫌だった
望のいない世界を想像したら色褪せてた
昨日の一回の過ちよりもそれ以上に助けられたことが多かったから
自分の中で全て無かったことにしようと決めた
それが望を傷つけていたのかもしれない
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作者名:みりん x他1人 | 作成日時:2020年4月26日 12時