僕の心が動き出した瞬間 16

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A side




A「あのね…」




包み込む様に抱きしめてくれている…
ジニョンさんの腕をギュッと握り返し…

ゆっくりとジニョンさんの方を向いた…




A「圭はあの日…何の為に渡韓しようとしてたと思う？

電話では話せない大事な話って前置きされてたから…やっと結婚の話をしてくれるんだって…

あの日私はずっと期待して待ってたの…

でもそうじゃなかった…

圭は…結婚じゃなく…婚約破棄の話をする為に渡韓しようとしてたの…」


ＪＮ「いやちょっと待って…

それは違うでしょ？」




予想外の事実にびっくりしたのか…

ジニョンさんは体を起こした…




A「ううん…でもこれが真実だって昨日お義父さんが打ち明けてくれた…」




釣られるように私も起き上がる…




ＪＮ「もっと分かりやすく説明してよ？」


A「だからね…」


ＪＮ「あ…ちょっと待って…

話…長くなりそうだからお茶を淹れよう…」


A「誰が？」


ＪＮ「ハハハ…僕しかいないじゃん…」




ジニョンさんは笑いながら立ち上がると…


部屋の隅に置かれた座卓の上の急須を手に持ち…
不慣れな手つきで日本茶を淹れ始めた…




ＪＮ「じゃ続けて…」


A「うん…」




出されたお茶で少しずつ喉を潤しながら…
さっきの続きを話し始める…




A「圭からは何も知らされてなかったんだけど…お義母さん…実は認知症だったんだよ…」


ＪＮ「え？」


A「落下事故の直前…電話口のお義母さんにかなり強く責め立てられたって…前にそんな話をしたでしょ？

突然怒り出したのは認知症のせいで…あの言葉はお義母さんの本心じゃないからって…」


ＪＮ「そっか…

でもどうして圭さんはお義母さんの事を隠してたんだろ？」


A「それはお義母さんの認知症が結婚の妨げになると思ってたから…

そして悩んだ挙げ句…私と別れる道を選んだの…」


ＪＮ「…」


A「どうしてもっと早い段階でお義母さんの事を打ち明けてくれなかったんだろ？

お義母さんの介護をしなきゃいけないなら私…ちゃんと受け入れたよ？

ジニョンさん…私ってそんなに頼りない？」


ＪＮ「A…」


A「ジニョンさんが圭の立場だったとしても…やっぱり圭と同じような行動を取る？

ねぇジニョンさん…正直に答えて…」

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