僕の心が動き出した瞬間 16

773 真実 1 ページ23

A side




圭母「どなた？」


圭父「何言ってんだよ？

Aさんだろ？圭の…」


圭母「圭のお友達？

こんにちは初めまして…」


A「え？」


圭父「ハァ…韓国からわざわざ足を運んでくださったというのになんて事だ…」




深いため息をついた後に…
お義父さんから語られる驚きの真実…




圭父「妻は認知症なんだ…

もうかなりのステージに進んでる…」




ソファに座ったまま一点を見つめ…
無表情で黒猫を撫でているお義母さん…




圭父「君が渡韓してすぐ警察に保護されてな…」


A「警察？」


圭父「買い物に出掛けた後…自宅に帰る道が分からないと交番に駆け込んでな…」


A「まさか…」


圭父「でもそのまさかが現実に起こった…

その少し前からちょっとしたことですぐにキレたり大切な約束事を忘れたり…

今までとは明らかに違う変な違和感は感じてたんだが…」


A「圭から何も聞いてない…

ねぇお父さん達は知ってたの？」


A父「いや全く…」


圭父「君に真実を打ち明ける事が出来ず圭はずっと悩んでいた…

もし今…君と結婚をしたら…間違いなく妻の介護に明け暮れる事になるだろうと…

結局息子は君と婚約解消をする事を選んだ…

あの日…圭が渡韓しようとしたのはこの事実を君に伝える為…」


A「嘘…ですよね？」


圭父「いや本当だ…

ま…結局…その前にあの世に行ってしまったんだがな…」


A「お義父さん…」


圭父「しかも妻の心ない言葉のせいで君まで酷い目に合わせてしまって…

私達はどうすれば君に許して貰えるのだろうか？」




涙を溜めながら…
いきなり土下座を始めた…




A「お義父さん…

ダメですそんなこと…」


A父「頭を上げて下さい…

どうかこれ以上ご自分を責めないで…」


圭父「いやしかし…」


A父「娘が今をしっかり受け入れ…気分良く再スタートが切れる事を願って私達は今日ここに来たんです…」


A「出来ないことでも簡単に諦めるな…

圭が生前にいつも言っていた言葉です…

私はどれだけこの言葉に救われたか…

だから最後に圭に心からありがとうを言いたい…

ただそれだけなんです…」




我慢していた涙がどっと溢れ…
ツーッと頬を伝い始めた…

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