742 最後の賭け 9 ページ42
ヨナ side
さっきまで…
ジニョンくんの声に誘導されながら歩いていたAが…
自らの意思で階段を上り始めている…
Aの大きな目からは大粒の涙がポロポロとこぼれ落ち…
そして次第に呼吸が荒くなっているのが分かった…
ヨナ〉「これ以上は無理だよ…」
A「…ハァ…ハァ…あと少し…ハァハァ…」
私を睨み付けるA…
Aは無理をしてでも…
今日で思い出探しを終わらせる覚悟…
だけどもう…
いつ倒れてもおかしくない位まで呼吸が乱れてしまっている…
無くした記憶を取り戻せるかも知れないが…
このまま無理を続けさせていいの？
ジニョンくんに指示を仰ごうと後ろを振り返る…
あぁダメだ…
ジニョンくんはジニョンくんで…
ジェボムと何やら揉めている…
どうすればいいんだろ？
階段から足を踏み外さないかAを見守りながら…
止める止めないの葛藤と戦っていたその時…
階段の中段を過ぎた辺りで…
ついにAが動かなくなった…
ヨナ「A？」
Aの体が小刻みに震えている…
A「…ハァハァ…やっと思い出したよあの日のこと…ハァハァ…
この場所で想定外の事が起きたの…ハァハァ…
諦めきれなくて何度も何度も電話をしてた…ハァハァ…
もう出ることのない圭の電話に…ハァハァ…」
ヨナ「分かったから…少し落ち着こ？」
どんどんAの呼吸が乱れていく…
早く落ち着かせないと…
A「…電話…出たんだ…ハァハァ…」
ヨナ「え？」
A「…もしもし？の男性の声…ハァハァ…
本気で圭だと思った…ハァハァ…
だけど…電話口に出たのは圭のお父さんで…ハァハァ…
私は圭じゃない父親だ…
Aさん少し落ち着こうって…ハァハァ…
だけどその後無理矢理電話口に出てきたお母さんに…ハァハァ…」
ヨナ「A？」
A「…あなたのせいって…ハァハァ…
圭が死んだのは…ハァハァ…全部あなたのせいだって…
圭を返して…
私の圭を早く返しなさいって…ハァハァ…ハァハァ…」
Aは荒い息遣いのまま…
私の方に倒れてきた…
あぁダメだ…
足場が悪くてAを正面で受け止めきれない…
無理に支えようとして…
バランスが崩れた…
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作者名：じぇびにゃん(*´ω｀*) | 作成日時：2018年1月9日 19時
