あの子が欲しい

はないちもんめ20 ページ20

side石切丸

幼子を抱きとめる鶯丸の姿
それは、私にとてつもなく黒い感情を生ませた



後少しで攫えたものを...



鶯丸「っ...良かった」


安心しきった顔で幼子を抱きしめた鶯丸
幼子はそんな鶯丸の頬を抓って笑う



......そうか


「キミが幼子の護身刀か」


あぁ、イライラする



全身から霊力が溢れ出す



鶯丸「...」

『ぁー』

幼子を抱き、刀に手をかけた鶯丸
ハハッ...やろうって？



「幼子を抱えながら我と刀を交えるつもりか、
鶯丸、驕るなよ」




私は指先に止まっている蝶々を握り潰す
粉々になった蝶は、パラパラと落ちていく


「いずれ幼子は我等のものとなる。それまでその命を賭けて幼子を守っていろ」


面の下から鶯丸を睨みつける
薄緑の瞳が、微かに揺れた




「いつか必ず幼子を迎えに来る
その時は貴様には幼子は渡さない





今回だけだ。見逃すのは








次はないぞ鶯丸









我等の邪魔をしてくれるな









さもなくば貴様の四肢を斬り落とし









二度と陽の光を浴びれぬようにしてやろう」









『...おにーちゃ』


それまで鶯丸を見ていた幼子は
首をこちらに向け、私に手を伸ばした









あぁ...愛い




「必ずキミを手に入れる

それまで...待っていて、A」






やんわりと微笑み、Aを呼ぶ

『おにーちゃ』


まだ善悪の区別もつかぬAは
その小さな手を私に伸ばし続けた

一体、私に何を見ているのだろうか

そのキラキラと輝く純粋な瞳で
まだまだあどけない無邪気な顔で

舌っ足らずな口で









私に何を求めている？





やはり、蝶かい？









『おにーちゃ、あーそーぼ！』









......本当に、キミは
どうしてそんなに、愛しいのだろうか









「ごめんね..今は遊べないよ」









『やー！あそぶの！』









駄々をこね、鶯丸の腕からするりと抜けるA
小さな手足を必死に動かし、私の元へ来た







『あーそーぼー！』









「...」









私の袴を掴み見上げる
今すぐ...攫う事が可能な距離だ





だが..できなかった









「A、よくお聞き」



私はそんなAの前に屈み、言う





「キミが六つを迎えた日、もう一度キミを迎えに来る」





『むっつ？』





「だから、それまで我慢して..迎えに来たら、向こうで私達とたくさん遊ぼうね」







約束だよ






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とりあえず、過去編終わりですね

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