【wr.wrd】それ、疲れないんすか？【shp】

『10』 ページ11

コール音が私の耳で響き渡る。プツッと切れたと思えば、親しみのある声が聞こえてきた。


【もしもし？】


『あ、もしもし』


【あ、どうしたん？Aから電話してくるなんて珍しいやん】


『いや、緊急事態。まずい、嫌われる』


【待って待ってw収集つかんのやけどw】


『笑っとんちゃうぞ！宇津木ぃ！』


そう。電話の相手は「宇津木 正」。一言で言うとクズである。
でも、相談にのってくれたり、色々あった時に励ましてくれたり…なんだかんだ言って実はいいやつ。


もう気づいてるだろうけど、私は猫を被っている。そんな私が唯一素で話せるよき友達だ。
ただ、浮気癖が凄いのが難点。


【ごめんごめんwんで？なんかあったんやろ？】


『あ〜、あのさ、紫崎 翔太って後輩が来たんだけど〜＿＿＿』


一通り状況を話すと宇津木はいきなり笑い始めた。


【あははははっwwwそかそかwww】


『え？なに！？』


【A〜wAにもついに春が来たんやなw】


『ちょっ、何！！教えて！』


【あれや、仲直りする方法教えるのと笑ってる理由どっち聞きたい？w】


こいつ…、究極の選択をｯ…ちょっと考えてから結論に至った


『…仲直り…』


私は人付き合いが下手だから、多分聞いても解決策は見つからない。


【せやな〜、両手で相手の頬を挟んで、下の名前呼んでみ？仲直りできるで？】


『は、はぁ！？そ、それ以外はないの！？』


【ないな〜】


『…分かった、やってみる。』


【おん、じゃね〜】


『うん。じゃあ…』


電話を切る。そこで一言、物申したい。


無理だろォォォォォォォ！！！！！


顔が少し暑いのは気の所為だろう。そう思いながら食堂へ向かった。

『11』→←『9』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す