お淑やかなメイドはゴリラなようで【wrwr!】 (ページ8)

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煙草が7本ページ8

zm「なぁなぁ師匠!」
あれから隠さなくなった俺をゾムは師匠と呼ぶようになった。
『何や？』
zm「俺な！α国の幹部バレずに殺せたんやで！！褒めてや！」
『良く出来たな、今度手合せしよか。』
zm「！おん！絶対やからな！！」
喜んだ様子で駆けてったゾムを横目に煙草を吹かす。
匂いが嫌いと言われているからこそ誰も居ないベランダで吸う。
何故だろうか、彼奴を思い出す。

俺がたった一人恋した男を思い出す。
煙草もソイツが吸っていたから、何か彼奴の物を残したくて。
自然と涙が溢れた。
別に彼奴に会いたい訳じゃない、悲しい訳でもない。
ただ苦しくて、煙草の味が彼奴とのキスと同じ味がして、苦しくて。

《お前の事、幸せには出来んから。》

俺は、お前と居るだけで幸せなんに……。
ただ他の女と付き合いたいだけだろうが…。
煙草を吸いながら頭を撫でてニカッて笑ったあの顔が嘘だったなんて言ってみろよ。
あの時泣いたあの顔が嘘なんてさ、騙された俺も馬鹿みたいだ。

ごめんな皆、騙しちまって。
俺が元々居たのは雑魚みたいな国じゃなかった。
仲間思いの良い奴らの集まりで俺もいつの間にか馴染んじまったから。
あの時靡いた金髪を真似して染めた髪も、もう黒髪に染まったから。
『ッはは、馬鹿みてぇ……。』
大丈夫、辛くなんてない。
無理なんてしてない。
今はミナミに時間を費やすって決めたから。
大丈夫、大丈夫、あの笑顔を忘れられないだけ。
大丈夫だから……。

俺の記憶から早く消えてくれ。