罪の告白*参 ページ6
*
「…そうか。それで逃げ出してきたわけか」
Aは、彼との関係を明かさぬまま、しかし大事な存在として語った。
義勇は深く息を吐いていた。
「ええ。自分の罪の意識の重さに耐えかね…出てきました。
私は、これからどうするべきなのでしょうね…。」
その問いかけは、精神論である。
もちろん、屋敷を出た後の身の振り方はある程度決めてきた訳だが、鬼殺隊の彼に話した今、どうなることやら。
すると、義勇は瞳を鋭くさせてこう答えた。
「どうするべきなのかだと?鬼殺しを専門にしている俺によく言えたものだ。
一般人でなければ即刻死刑にしていた。その軽率さ、あの時からまるで変わっていないようだな、A。」
その口ぶり、まるで旧知の仲だったような言い回しである。
まして、Aはまだ名乗っていない。
「え…?ど、何処かでお会いしておりましたっけ?」
「...そうか。いや無理もない。あの時は月もない夜だった。俺は職業柄夜目が利くから顔を覚えていただけだ。」
「え…もしかしてあの時の…?」
なんと、義勇はAの村を救った鬼狩り、その人だったのだ。
Aは感激の余り、義勇の手を取った。
「貴方があの時の鬼狩り様だったのですね…!本当に有難う御座いました。
貴方が居なければ、私共は助かりませんでした!」
「……。あぁ。
そう言えば、あの時はその様な火傷跡は無かったと思うのだが…」
義勇は無意識なのか、Aの前髪をさらりと耳かけ頬に手を伸ばしていた。
「…!?
あ、ええ。貴方が鬼を滅して下っさたあと、ボヤがありまして。
その時に負ったものです。」
「……そうか。…顔に傷があろうとも、相変わらず美しいな」
「…え…?」
義勇の思わぬ言葉に、Aは目を丸くする。
義勇の手を掴んでいたAの手が、するりと離れようとすると、義勇は逃がすまいと手を取った。
いつの間にか、背に手を回されていて、Aの逃げ場は無くなっていた。
「と、冨岡さん…!?これは、なんですか」
「…俺は、あの日貴方に一目惚れしていたんだ。…A…。
まさかこんな所で会えるとは思ってもみなかった。
何せ、また会いたいと思って村に手紙を出しても死んだと返事が来るばかりでな…」
次々と義勇の口から紡がれる言葉に、Aは頭が着いてこない。
「生きていて良かった…。」
義勇は安堵してみせるものの、この体勢はまずい。
死んだと思っていた一目惚れの女を、今まさに手篭めにしているのだ。
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renkon(プロフ) - 林檎さん» ヒィぃ嬉しい...最後ちょっと雑だったけど伝わって良かった...ありがとうございます!! (2020年7月22日 1時) (レス) id: 97b1ff29e1 (このIDを非表示/違反報告)
renkon(プロフ) - 桃さん» あざす!!!!!!!感想ありがとうございます!! (2020年7月22日 1時) (レス) id: 97b1ff29e1 (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 超 感 動 !! 黒死牟大好きなので最高でした! (2020年1月31日 0時) (レス) id: 618a98841b (このIDを非表示/違反報告)
桃 - 黒死牟推しです。とにかくキュンキュンしました!大好きな黒死牟にお姫様抱っこされたり、キスされたり…もう、最高!! (2020年1月15日 22時) (レス) id: 7ebd909b21 (このIDを非表示/違反報告)
renkon(プロフ) - 無気力人間Aさん» ほんとですか!?やったー!お相手が鬼ならばBADにするしかあるまい!!と考える人間なのでそう言って頂けて嬉しいです。 (2020年1月14日 23時) (レス) id: 97b1ff29e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:renkon | 作成日時:2019年11月18日 22時