理解 ページ9
-
「100年経ちゃ人の心も変わる。
昔の街の人間たちが、どんなタチ悪りぃ奴らだったか知らねぇけど…。
私の目には少なくとも、そんな人たちには見えなかった。
じゃなきゃあの街を救おうと奮い立ってもいない。」
飯屋の主人、役場の長老さん。お客さん、街の人たち…。
ひたすら前向きで、気前もよくて、いい人達だった。
「…じゃが、奴らは1ヶ月前あたりに森の動物たちを迫害しておる。」
「『危険な動物がいる』って…言ってたぜ。街の人らは。
さっきも言ったけど、襲われたら反撃も仕方ないだろう。
どうやら、あんた達の事も知らないようだ。
直接、街の人たちは自分の先祖から聞いてないんだろうな。
…昔の、他所者の奴らじゃないんだよ。
彼らは知らないんだ。…今なら、友好な関係を築ける。」
村長たちは、再び顔を伏せてしまった。
隊長は苦虫を噛んだような表情をしている。
「…あの、固定砲台。」
コラさんが口を開いた。
「あんた達が1ヶ月前の仕返しで、黒鉛の発掘場を占拠したあたりから配置したやつかと思ったが…、違ったな。
ありゃ年季が入ってる。」
「…そうじゃ。あれは、我々の先祖が、追放された折に設置したもの。何もかも、全てが奪われぬようにな。」
「…でも、一発も使ったことねぇんじゃねぇの」
「…！」
私は、彼らを縛っていた紐を解いた。
「…和解…でもないけど…
友好的になってくれ。街の人たちは、あんた達が盗みを働いたおかげで生活に苦しんでいる。
今の彼らが、あんた達に何かしたか？
…て言うか、先祖にとらわれていないか？」
「…っ…それは…」
村長の顔が歪んだ。
「…確かに…そうかもしれん。
実際、今の世代が何かされた覚えはない。
…かと言って、友好的にはなれん」
「…なぜ？」
「先祖が追放されたこともまた事実…。
目を背けられん。
じゃが、街に手を出すのはもうやめよう」
「…村長！」
「良いのだ。
…また、動物たちとゆったり暮らそう」
-
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
如月(プロフ) - 末永くお幸せに！！！！面白かったです！！！ (2022年10月4日 21時) (
レス) @page25 id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：renkon | 作成日時：2020年4月23日 12時
