寝顔 ページ18
-
どうやら私が寝かされていた部屋は三階にあり、町長さんに会った時に気づいたが、此処は役場のようだ。
きっと予備の部屋か何かなのだろう。
寝ていた部屋の前にたどり着き、くるりと後ろを向く。
「町長さん、私の部屋の向かい側って言ってたもんな…」
少し躊躇などがあったが、ドアを開けた。
…そこには…
私の部屋とほぼ同じ作りの部屋。
部屋の窓際にベッドが一台。
グシャグシャになった白のシーツは床に垂れ下がり、まだ冷たいが日の差し込むフローリングに…
「クカーッ…」
コラさんが寝ていた。
否、落ちていたと言うべきか。
「…相変わらずだ」
気持ちよさそうに眠っているところ申し訳ないが、風邪を引かれると困るので起こす事にした。
「おーいコラさーん。
起きろー!そのまんまじゃ風邪ひくぞこんにゃろー!」
「…グガァァ…」
ひどいイビキ以外、微動だにしなかった。
そして同じように耳元で呼びかけてみたが、起きる気配はなかった。
「…ぁあ"ん??」
掠れたドスの効いた声が出た。
少し苛立ちを見せたAの表情から、思い出したように呆れ顔になった。
「あー…しまった…。
そういや、この人全然起きない人だった。」
昨日の朝のことを思い出し、少し頰が染まる。
「…うっし、こうなりゃ私がベッドに乗っけてしんぜよう。」
そして、うんしょうんしょとコラさんの手を引っ張り、足を引っ張りしたが…
「そうだ!!
この人私の力じゃ動かせないんだった!」
一番最初に出会った時、引きずれなかったことを思い出し、頭を抑えた。
「…よーし…ならばこうだ」
コラさんの体に触れ、能力を発動した。
一瞬コラさんの体が光り出し、すぐに消える。
「ほいっと!」
両脇を抱え持ち上げると、意図も簡単にベッドへ乗せることができた。
「…だいぶ軽くなったなコラさん…
体内の何が軽い物質に変換された事やら」
未だにわからないことを呟き、再びコラさんに触れ体重を元に戻した。
…ふぅ。と息を吐き、コラさんの寝顔を眺める。
多分幸せなそうな顔でもしてたんだろう
廊下から私の様子を覗いてニヤニヤしてた町長さんとその娘さんの事なんて、知りもしなかったわけだけど。
-
34人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
如月(プロフ) - 末永くお幸せに!!!!面白かったです!!! (2022年10月4日 21時) (レス) @page25 id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:renkon | 作成日時:2020年4月23日 12時