もう一踏ん張り ページ15
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それから数時間後…
2人を乗せた狼達がふいに立ち止まった。
ここは、街を囲う森の中だ。
辺りはすっかり暗くなっていた。
「…お、此処までか…」
コラさんはいつの間にか閉じかけていた瞼を開け、狼の頭を撫でる。
「ありがとよ。
ご苦労さん」
すっかり夢へと誘われた様子のAを丁寧に抱きかかえ、ゆっくりと狼から降りた。
そして街の金品など貨物を運んでいた狼達から荷物を下ろし、彼らを撫でる。
「…お前ら、気ィつけて帰れよ。」
コラさんがそう言うと、一匹の狼が近づき、Aの頰を舐めた。
Aは一瞬眉をひそめたが、起きはしなかった。
「はは、…じゃあな。
村の奴らによろしく
…あ、よろしくされたくはねぇか」
コラさんがひとり頷いていると、狼たちは夜の森に姿を消した…。
残された街の金品とコラさんと眠ったA。
「むむ…俺一人でこれを運ぶのか…。
……よし」
フーンッと鼻息を吹き出し、Aを背負い荷物を体にくくり付けた。
街の金品とは相当な重さである。
「…今日は…、Aにばっかり能力使わせてたからな…!
最後は俺が…!」
大荷物と若い女を抱えた大男は、街を目指し、夜の森を歩き出した。
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如月(プロフ) - 末永くお幸せに!!!!面白かったです!!! (2022年10月4日 21時) (レス) @page25 id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:renkon | 作成日時:2020年4月23日 12時