奇襲 ページ49
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「リス！掟を守るのじゃ！」
「ウルセェ！リスっていうな！
ダジョーンと呼べ！」
先ほどから繰り広げられる口論により、長老ドラルは、怒りでプルプルと震えていた。
…痙攣じゃなかろうかと、村の者は心配している。
「…ダジョーンもダセェよな」
「…あぁ」
その時だった。
村が、濃密な霧にのまれたのだ。
「なんだ！？
…今日はそんな天候じゃねぇだろう！？」
「何！？
周りがっ…」
「前が…見えない」
山に住んでいる人間はよく自然現象を把握している。
朝、しかも気温が低ければ霧は濃く発生。
…しかし今は朝でもない。
「狼狽えるな。ただの霧じゃ！！」
長老ドラルの一声により、村は静かになった。
ただ、前も何も見えぬような霧。
皆身動きがとれず、立ち尽くすしかないこの状況…
声だけが頼りになった。
「こんな霧が濃くなるなんて…初めてだな」
「あぁ、動物たちも、誰かついてるだろうな…？」
ヒソヒソと村人たちは話していた。
霧が晴れるまでの辛抱である。
「(…前代未聞じゃ…。
まさかこの時間帯で霧が発生するとは…)」
そして、少しずつ…霧が晴れた頃だった。
「もういいか？」
「いや、俺が合図を送るまでな」
「りょーかい」
長老や隊員たちは、霧の向こうに現れた影に釘付けになった。
「おい！！聞こえるか村の人々よォ！！！」
薄くなった霧の向こうで、そんな声が発せられる。
「おいジジイ…」
「誰じゃ、この村に侵入者…！？」
村人たちは、謎の侵入者にうろたえ始めた。
「は！？…侵入者だと？
外には俺の隊員が狼たちを含め総勢50以上はいたハズだ」
「…この深い霧の中…
音も無く…」
そして、霧がすっかり晴れた頃、侵入者は姿を現した。
「てめっ…ら…は…！」
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作者名：renkon | 作成日時：2020年4月23日 12時
