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雨が降っていて良かったと思う。街灯の光が此処まで来ていなくて良かったと思う。
「ヒーローが好きでも何でも俺にとっては関係ないな」
「お前がお前である限り、それは些細な問題だ」
「きっかけがそれだったってだけで」
絶望的な答えの後、直ぐに言われた言葉。
するり──遠慮なんか感じられない──頬を滑る指。それは勿論私のではなく、弔さんのものだ。雨に打たれたからなのか、信じられない程に彼の指先は冷たかった。それに比例して私は顔が熱くて、心臓も煩いくらい──なんなら弔さんに聞こえているかもしれなかった。
「俺は、どっちつかずなお前が好きだ」
は？
いや、は？
「何を…仰ってる、のか…」
頭の中には「は？」しかない。いや、それ以外に思い浮かべられるものがあるなら、是非とも私に伝授してほしい。
「お前が好きだって話だよ」
「いやいやいやいや！待て待て待て待て待て！」
私が好きとは？
「いつ！」
「初めて会った時」
「何で！？」
「それは言わない」
肝心な所ははぐらかす感じなんだな。距離は近いままだけれど、何ともまぁ驚きの言葉により恥ずかしさとか諸々は吹き飛んでいった。
「取り、敢えず…取り敢えずですよ？分かりました。でも、それに答える事は出来ません…」
「だろうな」
弔さんの視線からそらさずに言ったが、予め答えは分かっていたと言わんばかりの答え。
「出会ったばかりで、とか貴方の事よく知りません、とか言うんだろ？」
図星である。
「それに関しては文句ない。俺は俺の中でお前だと思ったから好きになった」
真っ直ぐな言葉に、嘘は隠されていないんだろう。そうだとしても、私は信じられなかった。人と人がそんな簡単に好きになる訳がないと思っていたし、何なら一目惚れとかも何かの都市伝説では？と考えるくらいなのだ。
「好きになる理由とか、そんな大それたもの必要ない」
「俺も最初は疑ってたけど」
有無を言わせず──顔と顔の距離が近くなる。下手に動くとキスしそうな。
「精々焦って考えろ」
やっぱりこの人は、性根の腐った人だ。
首に手が回され私と彼の唇が合わさった。彼の唇は、傷の所為もあるのかカサカサで優しさのかけらもない。無理矢理口内へ侵入して来て──どうすれば良いのか分からない私は唯されるがまま状態。私と彼の唾液で、弔さんの唇は徐々にしっとりする。
「ふっ……ぁ」
息をするのが、やっとだ。
「あーぁ、キスしちゃったなぁ？」
意地の悪い笑みである。
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noise - 面白いですがもう少し文と文の間を開けた方が読みやすいですね、更新頑張ってください。 (2018年10月8日 3時) (
レス) id: c7ddf1a0db (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラ満開(プロフ) - 志乃さん» コメントありがとうございます、応援嬉しいです…頑張っていきますね！ (2018年9月25日 2時) (レス) id: e7696dbe06 (このIDを非表示/違反報告)
志乃(プロフ) - 応援してます (2018年9月23日 8時) (レス) id: 9e6db2f27b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゴリラ満開 | 作成日時：2018年8月26日 1時
