【文スト】私の理想【国木田独歩】 (ページ7)

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人喰い虎入社試験　前日譚ページ7

アニメ２話のネタバレあります。
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「お早ぅございまぁす・・・」

「お早うAちゃん、今日は一段と顔色悪いわねぇ」

少し困ったような顔をした春野に挨拶される。

「はい、一寸調子悪くて」

私は苦笑いをした。

「そういえば、社員の皆さんの姿が見当たりませんが・・・」

「今は皆会議室にいるわ」

「何の会議ですか？」

「入社試験よ」

入社、ということは新入社員がいるのだろうか。

そういえば、先日太宰や国木田が、虎の少年がどうのこうのと話していた。

ちなみに私は新人なので、まだ簡単な事務作業やお茶汲みしかできない。

よって、社にいる時間は長いものの、情報には疎いのだ。

その後春野と二言三言話し、自分のデスクに向かった。

しばらくして、社員が会議室から出てきた。

国木田がこちらへ向かってくる。

私は訳もなく、いや、気まずさからそっと顔を背けた。

「おい、A」

「うげっ」

「なんだその蛙を潰したような声は」

国木田は不機嫌そうに眉をしかめたが、「それより」と話を続けた。

「お前に仕事がある」

「と、いいますと？」

「明日の入社試験で、やってほしいことがあるんだ」

なんと一介の事務員の私に役割が！

私は必死ににやけを隠し、「それで？」と促した。

「お前には『不運にも爆弾魔の襲撃の遭遇してしまい怯えながら物陰から様子を伺う事務員その四』を演じてもらう」

・・・期待した私が莫迦だった。

私の落胆にも気付かない国木田が詳細を語る。

爆弾魔に扮した谷崎に人質とされたナオミを救い出す、というのが今回の筋書きだ。

ちなみに最初は国木田が救助を試みるらしい。

・・・ということは、だ。

国木田の異能がもう一度見られるではないか！

気分が急上昇し、我ながら現金な奴だと思った。

国木田はさらに顔を歪ませ、「変な奴だ」と云った。