検索窓
今日:4 hit、昨日:7 hit、合計:25,926 hit

変則的な朝 ページ40

ある朝のこと。

国木田は茶を一口飲み、「まずい」と顔をしかめた。

「あれ、国木田さん、お口に合いませんでした?」

私は努めて明るく云った。

すると、国木田はすっと目を細め、軽く俯いた。

これは、怒っている。

「お前は、茶の一杯もまともに淹れられんのか!」

彼はつかつかと歩み寄り、怒鳴った。

今日は予定が詰まっているようで、苛立っている。

最近の不機嫌さも相まって、怒りが頂点に達したようだ。

因みに、私はまだ謝れていない。

いちいち申し訳なさそうに振舞うと周りに心配されるので、私は表面上は普段どおりだ。

私はへらへらしていたもんだから、国木田の説教はさらに熱をあげた。

周りの社員たちは、皆気まずそうにしている。





「大体、女の癖にこんなこともできないなんて・・・」

国木田がそう云うと、場の空気が凍った。

「何が女の癖に、だってェ、国木田ァ?」

彼の背後には与謝野がいた。

美しい容姿からは考えられない程の猟奇的な笑みを浮かべている。

「よっ、与謝野女医!」

「一寸こっちに来てもらえるかい?」

与謝野は国木田の襟首を掴み、そのまま医務室に引きずり込んだ。

「うわぁ・・・」と敦。

顔色が悪い。

「大丈夫でした?」とナオミが話しかけてきた。

「いくらなんでも、云って良いことと悪いことがありますよね!」と若干怒っていた。

「ありがとうございます・・・まあ、私が悪いんですけどね。」

自分の味方をしてくれたことを嬉しく思いつつ、いまだにつきつきと痛む心を隠すように胸のブローチを触った。

程なくして、与謝野が戻ってきた。

「与謝野先生!国木田さんは・・・」

「大丈夫、しっかり説教してやッたから。もう仕事とかで、出ていッちまッたよ」

与謝野はこの上なく美しい笑顔で云った。

なんてことだ。

私はさぁっと青ざめた。

「なんか、申し訳ないです。私のせいで、朝からこんなことに・・・」

「アンタが謝ることは無いよ。それより、買い物に付き合ってくれるかい?」

「えっ」

普段荷物持ちをしている敦を見ると、彼は苦笑いしていた。

どうやら本当に私を所望らしい。

「いいんですか?私、荷物持ちにすらなりませんよ?」

「まァ、たまには女同士で買い物ってのも悪くないだろう?」と与謝野はウインクした。

其々の過ごし方→←注意



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
52人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 国木田独歩   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

グーフィー(プロフ) - 紅羽さん» ありがとうございます。結婚かぁ…(遠い目 (2018年9月8日 23時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
紅羽(プロフ) - 早く結婚しろやァァァァ!国木田さん尊い… (2018年9月8日 21時) (レス) id: 5947bb1147 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - きのこまるさん» 乱歩さん回でした。 (2018年9月8日 21時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
きのこまる(プロフ) - あっはぁ・・・!!乱歩さんが!活躍して!嬉しいです! (2018年9月8日 21時) (レス) id: c031244509 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - 紅羽さん» シュンとする社長に肩ポンする春野さん…ってところまで想像してもらえれば。 (2018年7月30日 6時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:グーフィー | 作成日時:2018年6月18日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。