変則的な朝 ページ40
ある朝のこと。
国木田は茶を一口飲み、「まずい」と顔をしかめた。
「あれ、国木田さん、お口に合いませんでした?」
私は努めて明るく云った。
すると、国木田はすっと目を細め、軽く俯いた。
これは、怒っている。
「お前は、茶の一杯もまともに淹れられんのか!」
彼はつかつかと歩み寄り、怒鳴った。
今日は予定が詰まっているようで、苛立っている。
最近の不機嫌さも相まって、怒りが頂点に達したようだ。
因みに、私はまだ謝れていない。
いちいち申し訳なさそうに振舞うと周りに心配されるので、私は表面上は普段どおりだ。
私はへらへらしていたもんだから、国木田の説教はさらに熱をあげた。
周りの社員たちは、皆気まずそうにしている。
「大体、女の癖にこんなこともできないなんて・・・」
国木田がそう云うと、場の空気が凍った。
「何が女の癖に、だってェ、国木田ァ?」
彼の背後には与謝野がいた。
美しい容姿からは考えられない程の猟奇的な笑みを浮かべている。
「よっ、与謝野女医!」
「一寸こっちに来てもらえるかい?」
与謝野は国木田の襟首を掴み、そのまま医務室に引きずり込んだ。
「うわぁ・・・」と敦。
顔色が悪い。
「大丈夫でした?」とナオミが話しかけてきた。
「いくらなんでも、云って良いことと悪いことがありますよね!」と若干怒っていた。
「ありがとうございます・・・まあ、私が悪いんですけどね。」
自分の味方をしてくれたことを嬉しく思いつつ、いまだにつきつきと痛む心を隠すように胸のブローチを触った。
程なくして、与謝野が戻ってきた。
「与謝野先生!国木田さんは・・・」
「大丈夫、しっかり説教してやッたから。もう仕事とかで、出ていッちまッたよ」
与謝野はこの上なく美しい笑顔で云った。
なんてことだ。
私はさぁっと青ざめた。
「なんか、申し訳ないです。私のせいで、朝からこんなことに・・・」
「アンタが謝ることは無いよ。それより、買い物に付き合ってくれるかい?」
「えっ」
普段荷物持ちをしている敦を見ると、彼は苦笑いしていた。
どうやら本当に私を所望らしい。
「いいんですか?私、荷物持ちにすらなりませんよ?」
「まァ、たまには女同士で買い物ってのも悪くないだろう?」と与謝野はウインクした。
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グーフィー(プロフ) - 紅羽さん» ありがとうございます。結婚かぁ…(遠い目 (2018年9月8日 23時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
紅羽(プロフ) - 早く結婚しろやァァァァ!国木田さん尊い… (2018年9月8日 21時) (レス) id: 5947bb1147 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - きのこまるさん» 乱歩さん回でした。 (2018年9月8日 21時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
きのこまる(プロフ) - あっはぁ・・・!!乱歩さんが!活躍して!嬉しいです! (2018年9月8日 21時) (レス) id: c031244509 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - 紅羽さん» シュンとする社長に肩ポンする春野さん…ってところまで想像してもらえれば。 (2018年7月30日 6時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:グーフィー | 作成日時:2018年6月18日 16時