蒼に溺れる 玖 ページ24
「ねえ、どう思う?」
しかし、眼下の魚は何も云わない。
ただでさえ狭い私の部屋に置かれた大きな水槽は、あまりにも異質だった。
これまた殺風景な水槽の中を、一匹の巨大な魚がゆったりと泳いでいる。
太宰が云った通り、六蔵少年の飼っていた此れは、本当に私のものとなった。
維持費や餌代は探偵社の経費から出るそうだ。
家主にも許可を取ったので、何も問題はない。
ないのだが、いざ運び込まれると矢張り・・・変な感じだ。
しかし今となっては良い愚痴の聞き役になってもらっている。
たとえ魚相手でも、話せば楽になるものだ。
六蔵少年もこんな風に話していたのかな、と思いを馳せてみたりもした。
あれから、探偵社の面々は事件の処理に追われていた。
当然事務員である私や、当事者の国木田も忙しかった。
私は業務に没頭した。
何も考えたくなかった。
国木田は元々真面目な人だから、まあいつも通り仕事をしていた。
しかし様子がおかしい、と思うのは私だけだろうか。
今まで書類と格闘していたかと思うと、手を止め、ふっと虚空を見つめるのだ。
一分一秒でも惜しいと感じる理想主義者の彼がそんな行動をするとは考えにくい。
そんなに佐々城さんのこと好きだったんですか、国木田さん。
これじゃあ、私の入る隙がないじゃないですか。
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グーフィー(プロフ) - 紅羽さん» ありがとうございます。結婚かぁ…(遠い目 (2018年9月8日 23時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
紅羽(プロフ) - 早く結婚しろやァァァァ!国木田さん尊い… (2018年9月8日 21時) (レス) id: 5947bb1147 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - きのこまるさん» 乱歩さん回でした。 (2018年9月8日 21時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
きのこまる(プロフ) - あっはぁ・・・!!乱歩さんが!活躍して!嬉しいです! (2018年9月8日 21時) (レス) id: c031244509 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - 紅羽さん» シュンとする社長に肩ポンする春野さん…ってところまで想像してもらえれば。 (2018年7月30日 6時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:グーフィー | 作成日時:2018年6月18日 16時