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蒼に溺れる 陸 ページ21

三人が、無事に任務を終えた翌日のこと。

国木田が出社して早々に出掛けようとしていた。

「こんな朝から、何処へ行かれるんですか?」

「一寸・・・な」

珍しく言葉を濁す国木田は、昨日屋上で話したときと同じ顔をしていた。

その表情を見ると、胸が痛くなる。

「・・・ついていってもいいですか」

国木田は少し思案した後、「構わない」と答えた。



途中、私達は花屋に立ち寄った。

国木田の手にある白い菊の花束を見て、私は今日の目的を悟った。

道中は終始無言だった。




そこには洋風の似通った墓石が見渡す限り並んでいた。

しかし国木田は慣れたもので、歩みを緩めることは無かった。

私は国木田の一歩後ろを歩いていた。

普段は小柄な私に合わせてくれている筈だった。



国木田がある墓石の前で立ち止まる。

追いつくために速く歩いていた私は、危うくぶつかりそうになった。

そんな様子に一瞥もくれず、国木田は花を供える。




二人だけの静かな空間に、第三者の足音が響く。

佐々城だった。

着物を着ており、その美しさに女ながら感心した。

国木田と佐々城は神妙な面持ちで並ぶ。

私は、なんとなく後ろに下がり、二人の背中を見つめた。

国木田がぽつりぽつりと話し始める。

私の知らない話だ。

佐々城相手だと話せるのか、と私は自傷気味に笑った。

「さようなら」

佐々城が告げる。

国木田は、佐々城が去った方向をいつまでも見つめていた。

まるで私の存在など目に入らない、とでもいうように。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 国木田独歩   
作品ジャンル:アニメ
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グーフィー(プロフ) - 紅羽さん» ありがとうございます。結婚かぁ…(遠い目 (2018年9月8日 23時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
紅羽(プロフ) - 早く結婚しろやァァァァ!国木田さん尊い… (2018年9月8日 21時) (レス) id: 5947bb1147 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - きのこまるさん» 乱歩さん回でした。 (2018年9月8日 21時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
きのこまる(プロフ) - あっはぁ・・・!!乱歩さんが!活躍して!嬉しいです! (2018年9月8日 21時) (レス) id: c031244509 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - 紅羽さん» シュンとする社長に肩ポンする春野さん…ってところまで想像してもらえれば。 (2018年7月30日 6時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:グーフィー | 作成日時:2018年6月18日 16時

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