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蒼に溺れる 参 ページ18

「いただきます」

佐々城の言葉に、ごくりと唾を飲む。

さて、結果はいかに・・・!




今日は駄目だった。

佐々城は一口茶を飲み、一瞬変な顔をして、苦笑いした。

「おいしくないですか・・・」

佐々城は黙る。

・・・悲しい。





ひとしきり落胆したところで、佐々城との会話を始めた。

「ご職業を伺っても?」

「大学で社会心理学を教えています」

「へえ!」


驚いた。

真逆こんなに若い方が教授だなんて。

さぞかし優秀なのだろう。

「美人で聡明だなんて・・・恋人の一人や二人、いらっしゃるでしょう?」

「いえ・・・彼はもうこの世には・・・」

佐々城は俯いた。

しまった、地雷を踏み抜いたようだ。

安易に恋愛の話題にした私が莫迦だった。


「ご、ごめんなさい!」

「いいんです・・・それより、あなたは?」

「へ?」

「慕っている方はいるんですか?」

佐々城の発言に、暫し固まってしまった。

顔が熱くなる。

「・・・国木田さんです」

「まあ、先程の!」

佐々城の顔が明るくなる。

矢張り、女子はこの手の話が好きだ。

大人しいように見えた佐々城だが、意外と食い付いてきた。


「実は、とある事件のときに助けていただいたんです」

「素敵ですね」

心なしか、佐々城の目がきらきらと輝いている。

「その事件とは・・・」

「爆破事件です」

佐々城の顔がこわばる。

私は当時のことを思い出した。

「無差別に人を襲うなんて、許せないです」

結果、国木田と出会うことになったが、怖かったことに変わりはない。




佐々城がこちらを真っ直ぐ見る。

「もし、その犯人が、正義のために事件を起こしたとしたら、どうしますか」

私は佐々城を見つめ返す。

「それでも、人を傷つけるのは、いけないことです」

佐々城は、ただ「そうですか」と答えた。




その後も、他愛もない話を続けた。

茶が冷めた頃になり、「では」と席を立った。

給湯室で湯のみを洗っている間も、佐々城の言葉が頭を離れなかった。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 国木田独歩   
作品ジャンル:アニメ
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グーフィー(プロフ) - 紅羽さん» ありがとうございます。結婚かぁ…(遠い目 (2018年9月8日 23時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
紅羽(プロフ) - 早く結婚しろやァァァァ!国木田さん尊い… (2018年9月8日 21時) (レス) id: 5947bb1147 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - きのこまるさん» 乱歩さん回でした。 (2018年9月8日 21時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
きのこまる(プロフ) - あっはぁ・・・!!乱歩さんが!活躍して!嬉しいです! (2018年9月8日 21時) (レス) id: c031244509 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - 紅羽さん» シュンとする社長に肩ポンする春野さん…ってところまで想像してもらえれば。 (2018年7月30日 6時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:グーフィー | 作成日時:2018年6月18日 16時

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