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ついてない日 前 ページ13

国木田が私の頬に手を添える。

「君は私の理想だ」

私は頬を赤らめる。

そのまま顔がゆっくりと近づき、二人の距離が無くなる・・・。

「うへ、うへへへへ」

・・・寝坊した。





「お、お早うございます・・・」

入社後、初めての遅刻だったので、私はかなり緊張していた。

ちなみに春野には電話で連絡してあるので、問題は無い・・・はずだ。

それでも遅れたことに変わりはない。

私は気まずさからこっそりと社に入った。

「おい、A」

「ひいっ!」

恐る恐る後ろを振り返ると、国木田がいた。

それも、相当不機嫌そうな顔で。

「全くどいつもこいつも・・・仕事にやる気は無いのか!」

「いえ!そういう訳では・・・」

「じゃあ何だ!」

「うっ」

真逆貴方の夢を見ていました、なんて云えないので、言葉を詰まらせてしまった。

その後もくどくどと説教が続く。

嗚呼、朝の仕合せな気分が・・・。

「・・・聞いているのか!」

「っ、はい、何でしょう?」

「今日はブローチ、どうした?」

聞き流しているうちに全く違う話になっていたらしい。

「ん?ブローチ?」

胸元を触る。

無い。ない、ない!

「あれ?今朝付けたはずなのに!」

「寝坊なんぞするからだ」

国木田は説教を再開させようとしたが、生憎聞いている余裕はない。

「一寸探してきます!」

「あっ、待て!」

国木田の制止を振り払い、私は駆け出した。





探偵社から駅までの道をたどる。

途中で交番にも寄ったが、成果は得られなかった。

もともと小さなものなので、この街で落としてしまったのなら見つけるのは困難だろう。

脳裏に、辛い顔を一切見せずに笑顔で送り出してくれた母の姿が浮かぶ。

視界が滲む。

出勤ラッシュが落ち着き静かになったヨコハマに、嗚咽が響いた。

「お母さんっ・・・!」

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 国木田独歩   
作品ジャンル:アニメ
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グーフィー(プロフ) - 紅羽さん» ありがとうございます。結婚かぁ…(遠い目 (2018年9月8日 23時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
紅羽(プロフ) - 早く結婚しろやァァァァ!国木田さん尊い… (2018年9月8日 21時) (レス) id: 5947bb1147 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - きのこまるさん» 乱歩さん回でした。 (2018年9月8日 21時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
きのこまる(プロフ) - あっはぁ・・・!!乱歩さんが!活躍して!嬉しいです! (2018年9月8日 21時) (レス) id: c031244509 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - 紅羽さん» シュンとする社長に肩ポンする春野さん…ってところまで想像してもらえれば。 (2018年7月30日 6時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:グーフィー | 作成日時:2018年6月18日 16時

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