L O V E . ＃ 2

Step up 7. ページ32

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俺の予想に反して頬を赤く染めながら
必死にそう否定した彼女を見て、
どくんと心臓が大きく跳ね上がるのを感じた。


口では必死で否定している彼女やけど、
その表情や仕草から見ても
言葉とは裏腹に照れる彼女が視界に映って、
見てるこっちまで伝染したように
照れてしまった。


この一週間、無駄に積もりに積もった想いが
溢れてしまいそうになって
必死に抑えているけれど、
彼女の腕を掴んだ手は意識とは別に動いて…



｢……っ！｣
(しまった、手が勝手に)


｢ちょっ…｣



立ち上がり様にブランコに座った彼女の手を
力いっぱい引き寄せた俺は
彼女を自分の腕の中に閉じ込めていた。


ああ、俺は今取り返しのつかないことを
やってのけたかもしれない。


とは思っても、今更時間は巻き戻せない。
しっかりと腕の中に収まっている彼女は
突然の事に驚いているのか
何も言わずに黙って俯いたままで…



｢…………。｣
(そりゃ、混乱するよな)



間違っても好きになんかならない。
そうきっぱりと言い切ったくせに、
見事にそれを覆そうとしている事に
何よりも戸惑ったのは自分自身。


そんな俺が
こうして彼女を抱きしめているんだから、
戸惑うなという方がおかしい。
案の定、



｢ねぇ、離してよ…｣


｢さっぱり意味が分からないんだけど｣



と、俺の腕の中でばっさり言い切った彼女には
俺もただ苦笑いを浮かべるしか出来なかった。


そのまま抵抗はしないくせに、
俺の顔を至近距離で眺めてくる彼女の
戸惑いに揺れた眼差しに
負けてしまいそうになったけれど…



｢…嫌や｣
(今更、ここで引き下がれる訳無いやろ)



さらに抱きしめる力をぎゅっと強くして、
彼女の肩に顔を埋めた。
その時、微かに香ったのは
いつかのお酒の匂いなんかじゃなく、
香水の香り。


甘い香りなのに嫌味のない
あっさりとしたその匂いに
また彼女の意外な一面を知る。


無意識に顔を上げて彼女を見下ろすように
至近距離でじーっと見つめれば、



｢ねぇ、本当にどうしたの…？｣


｢何かあった？｣



俺の行動があまりにも突拍子がなさすぎて
今度は心配そうな表情を浮かべて
そう問いかけてくる彼女は
やっぱり何だかんだ言っても
年上らしいと思う。


彼女から見た俺は、
一体どんな風に映ってる…？
ただのガキ扱い？
それとも生意気な隣人？


どちらにしても、
きっと彼女の中で
俺は年下の男の子でしかないのかもしれない。


そう思うと悔しくて、
口を歪めてぎゅっと歯を食いしばった。



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