L O V E . ＃ 2

Step up. ページ26

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｢……は？｣
(何や、この素っ気ない返事…)



仕事を終えて一人移動中のタクシーで
スマホを眺めたまま、放心状態になった。


あれだけ勇気を振り絞って送ったはずの
LINEに対して返ってきたのは、



ナナ分かった



｢短かすぎるやろ…！｣
(たった４文字かよ、ムカつく)



あまりにも簡潔すぎる内容に
思わず声に出して憤りを露にしてしまった。


苛立ちからスマホを鞄に放り投げて
大きく息を吐くとミラー越し
運転手さんと目が合って、



｢あ、すいません…｣
(しまった、つい声に出してた)



ついつい、自分一人で
感情的になっていた事に気付いて
後部座席で肩身が狭くなる思いだった。


そんな俺に構うことなく、
運転手さんは冷静なまま
目的地に向かってハンドルを握ったままで…



｢………っ、｣
(何か言ってくれた方がまだマシやな)



異様な空気が車内を充満して
気まずさから咳払いをひとつ。


それから、何事も無かったかのように
再び鞄にしまったはずのスマホを取り出して
少しだけ目を細めた。


期待なんかするからあかんねん。


こうやって落ち込む事だって
目に見えて想像出来たはずやのに、
まんまと落とし穴にはまったような気分だった



｢…………っ、｣
(にしても何やねん、このLINE！)



彼女は確かに
色気なんか一切無い酔っ払い女やけど



せめてLINEくらい
可愛いかと思ってたこっちがアホやった。


絵文字の一つも無いたった４文字の文章に
無性に腹が立って知らず知らずに
眉間には深い皺が刻まれていく。
だけど、



｢…ははっ、｣
(やっぱ変な女！)



今まで出会った事の無いタイプの彼女は
やる事なす事、全てが新鮮で…


そう思えば、
何だかたまにはこんなのも悪くないかと、
いつしか人目も気にせずに笑っていた


すると、突然笑いだした俺を見て
運転手さんがまたミラー越しに
様子を伺うようにちらりと視線を向けるから、



｢あ、すいません…｣
(しまった、またやってもた)



またまた肩身の狭い思いをしながら謝れば、
運転手さんは渋い表情を浮かべたまま
再び正面へ視線を戻した。


恐らく、俺の予想やと、
めっちゃ変な客やと思われてるに違いない。


自分の行動を振り返ると
さっきから明らかに不審者のようで
情けなくなる。


それくらい彼女からのLINE一つに
浮かれている自分に
一番驚かされるのは自分自身で。




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