L O V E . ＃ 2

Can't wait 3. ページ18

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そんな時、急に俺の控え室を
ノックする音が響いた。



｢はい…？｣
(こんな時に、誰やねん)



むくっとだるい体を起こし、
渋々返事をして握っていたスマホの画面を
テーブルに伏せて隠すように置いた。


まだ作成途中のLINEを
誰にも見られたくなかった。


すると、しばらくして
ドアが軽快に開く音と共に
現れたのは懐かしい人物だった。



｢壱馬さん、お久しぶりです！｣


｢おわ、嘘やろ？｣


｢元気やった？｣



現れたのは、
以前映画で共演した富田望生ちゃん。
相変わらず愛想の良い彼女は、
明るく笑って控え室に足を踏み入れると
颯爽とテーブル越し、向かいの席に座った。


久しぶりの再会に
思わず目を丸くして驚いた俺に



｢相変わらず、壱馬さんは爆イケですねー！｣



なんて、
おどけて見せたんだ。



久しぶりに会った彼女との会話は
なかなかに盛り上がった。


そもそも映画の時から仲は良かったし、
サバサバしたタイプの彼女とは話しやすくて
まるで男友達と同じような感覚で
一緒にいて気楽だった。


しばらく思い出話に花を咲かせて
そろそろ話題も尽きてきた頃、
彼女はテーブルに頬杖をしたまま
話していた途中で、ちらりと視線を移し
俺のスマホを眺めながら
ぽつりと呟くように言った。



｢壱馬さん、ずっとスマホ気にしてますよね｣


｢何か連絡来るの待ってるんですか？｣


｢……えっ、｣


｢いや、別にそんな事ないけど…｣



女の勘？
それとも、たまたま？


突然、ど真ん中ストレートの直球を
投げつけられたような気分だった。


思わず、ハッとしてしまった事を
悟られないように何とか平静を装ってみる。


だけど、時は既に遅かったようで。
彼女はにやり、と妖しく笑うと
テーブルから身を乗り出すと
ニヤニヤと顔を近づけて更に核心に触れる。



｢ああ、その顔、本当は連絡待ってますよね…？｣


｢彼女からですか？｣


｢それとも、好きな子とか？｣


｢いや、だから、ほんまに待ってないって！｣



女って、つくづくこういう話が好きやな
そう、実感して気が重くなった。


慌てて叫んだ俺に、
彼女はまた何か思いついたように
悪戯にニヤニヤと笑う。


一体、何を思いついたんやろ…？


彼女の考えが読めずに
俺が目を丸くして首を傾げていると
彼女は口の端を上げて
嫌味な笑いを浮かべながら


｢ははーん｣


｢さては、壱馬さんの片思いですね？｣



とか言って、女優らしからぬ
下手な芝居を打って見せた。




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