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Get drunk 3. ページ45

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大勢で暮らすのも結構苦労するんだなぁ。
なんて他人事のように盗み聞きしてたら、
ついつい洗濯物の手が止まっていた。
すると再び、



｢いや、だからさぁ！｣


｢もう、今度は何なん…？｣


｢ちゃんと皺伸ばして干さなきゃ駄目だって…｣


｢あー、それ、俺のお気に入りのTシャツ…｣



説教する北人君と
雑に干された洗濯物の持ち主である
まこっちゃんの嘆く声が聞こえてきた。


どうやらようやく手伝う気になったらしいけれど
雑にやり過ぎたのか再びお説教されて
終いには、



｢いやいや、見てや、これ」


｢ちゃんとしてるやろ…？｣


｢｢いや、雑っ(雑っすね)！」｣


｢いや、声揃えて言うの腹立つな｣


｢……………。｣
(なるほど、寝起きで機嫌悪いタイプだ)



北人君達に怒られて少し拗ねたのか
しょげた声が聞こえてきた。

まるで子供みたいに拗ねている彼の表情が
何となく想像出来てしまい思わず私はふっ、と
小さく声に出して笑った。



｢あっ……｣
(しまった、つい)


｢え、ナナさん？｣



笑ってしまって、すぐに口を覆った。
盗み聞きをしていた事に気付いたら
また何を言われるか分からない。


そう思って、
とっさに口を覆ったまま
しゃがみ込み息を潜めたのだけど…



｢あ、やっぱり、ナナさんだ｣


｢あ、あはは…｣


｢おはよう、北人君｣



私の声に気付いた北人君が
手摺から顔を覗かせて
しっかりとその姿を視界に捕らえていた。


見つかってしまったら仕方ない、と
わざとらしく笑ってそそくさと立ち上がる。
束ねたお団子を整え服の乱れを直して誤魔化した。


こんな姿、本当は見られたく無かった…
そんな事を言っても時既に遅く
私は渋々、北人君へと近寄った。



｢何だか、朝から賑やかだね｣


｢いつもこんな感じなの…？｣



当たり障りの無い会話を選び、
笑ってそう問いかければ
北人君はたちまち苦笑いを溢して、



｢ああ、うるさかったでしょ？｣


｢ごめんね｣



と、ポリポリ頬を掻きながら申し訳なさそうに
ふにゃりと笑った北人君の姿が
あいつの生意気な態度とはかけ離れていて、
その素直な言葉に私は慌てて首を振った。



｢あー、そんなつもりで言ったんじゃないよ…？｣


｢ほら、私って、一人暮らしでしょ？｣


｢だから、ちょっと羨ましいっていうか、ね？｣



一人暮らしには無い
賑やかさが羨ましかったのは本当で、
彼らにとっては些細な日常も、
私には何故だかとても特別に見えた。



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