L O V E .

Get drunk. ページ43

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バタン、と力いっぱい閉じた扉に体を預けて
そのままずるずるとしゃがみ込んだ。


ああ、
何て大それた事を
してしまったんだろう…


乱れた呼吸を整えながら、
先程、彼の服を掴んでいた両手は力をなくし
今更に震えていた。


慌てて両手を固く結び、
ぐっと力を入れて強引に震えを抑える。


しばらくして
遠くでドアを叩く音が微かに聞こえた。



｢………っ、｣
(胸が痛い)



きっと聞こえた音の出所は彼に違いない。
私がやり返した事に腹を立てたんだ。
だけど、私だって今日は怒ってるんだからね！



『何で、そんな残念そうな顔してるん？』


『ああ、そっか…』


『ほんまにキスして欲しかったん…？』


「……っ！」
(誰がキスなんかっ…)



カッとなり、頭にフラッシュバックした映像は
まさにエレベーターでの出来事で。


本当にキスされるかも、と
一瞬でも思ってしまった自分が
とても悔しかった。


だから平気な振りをして
必死に平静を装っていたんだ。



｢からかう相手なら他に沢山いるんじゃないの？｣


｢それとも、何？｣


｢まさか、わざわざこんな色気無い女相手するほど」


｢困ってるとか…？｣



本当はこんな台詞が言いたかった訳じゃない。
今更に振り返れば、
我ながら本当に色気も無ければ、
可愛いげも無さすぎて自己嫌悪に陥るくらいだ


挙げ句の果てに
返ってきた台詞は、



『誰が、お前みたいな色気無い女…』


『間違っても好きにならへんわ！』



決まり文句のように毎度言われる
"色気が無い"という台詞。


あながち外れではない言い分に
加えての全否定に
私は無意識に頭を抱えて掻き乱した。



｢もぉっ…！｣
(何なの、一体！)



一週間振りに会った彼と
どうしてまたこんな風に
言い争わなきゃいけないんだろうか？


それに、一週間も会わなければ
少しはまともに話が出来るかと思っていたのに


言いたい放題言って、満足したのか
そそくさ出ていったアイツに
私はこの後とんでもない失態を犯した。



｢ああっ…｣
(芸能人の頭に鍵投げるなんて！)



いくらムカついたからって、
相手は世間を騒がす人気グループのボーカルだ


かたや、こちらはしがないＯＬ。
どう比較したってその差は明らかで、



｢傷とか残っちゃったら訴えられるのかな？｣



なんて、考えると
背筋がゾクゾクして冷や汗が出た。


何にせよ私は彼が沢山のファンを抱えた
THE RAMPAGEのボーカルだと言う事を
すっかり忘れていたのだ。




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