So what 3 ? ページ14
.
『……なぁ、』
「……………。｣
(無視しよう)
『おい、って』
コンビニでビールを数本買って、
足早に店を出たら
何故か余分なモノが付いてきた。
私のすぐ後ろを歩く彼は
楽しそうな声で話しかけていたけれど、
次第にしびれを切らせたのか
声はだんだんと苛立ちを含んでいって…
『いや、無視すんなよ』
ついには私の肩を掴み、
強引に私を足止めさせた。
仕方なく溜め息を吐いて振り返れば、
前にも見たマスク姿でムッとした表情が
視界に入った。
「何か用？｣
『何って…』
『普通、お隣さんに会ったら挨拶くらいするやろ』
「…………。｣
(ああ、なるほど)
言われてみれば確かにそうだ。
会えば憎まれ口ばかりの彼に対して、
少し大人げない対応になっていたと
一人、反省する。
｢ごめん…｣
(でも色気ない、とかムカつくでしょ)
納得いかない表情で渋々謝ったのが
バレバレだったのか、
彼は声に出して笑うとマスクを外してから
涙の滲む目尻を指で押さえながら言った。
『絶対、悪いと思ってへんやろ』
「まぁね｣
『ふはっ、開き直ってるし…』
そう言ってにっこり笑った彼は
今までの警戒心を全て取り払ったような
満面の表情を見せるから
不覚にも、胸がきゅっと痛むのを感じた。
｢……………。｣
(本当、黙っていれば格好いいのに)
隣を歩きながら笑う生意気な彼の横顔に
悔しいけれど見惚れていると
彼は何か思い出したように目を大きく見開く。
『ああ、そうそう』
『さっきのコンビニ…』
「コンビニが、何…？｣
お互い片手にコンビニ袋をぶら下げて歩く途中
彼が言った意味が良く分からず首を傾げれば、
彼は顔をこちらに向けて続けた。
『さっきのコンビニ、良く行く？』
「まぁ、近いからね…｣
何が知りたいのかは良く分からないけれど、
また無視すれば厄介な事になりかねないので
すんなり返事をして、聞いてみる。
「君は？｣
『俺も』
「……へぇ｣
そうだったんだ。
なら、もしかしたら知らない間に
すれ違ったりしていたのかもしれないなぁ。
道路を眺めながら
そんな事を考えて歩いていると、
『今まで気付かんかっただけで』
『実は、案外会ってたんかもな』
『なぁ、"お姉さん"？』
「………………。｣
(コイツ、また"お姉さん"って言ったな)
こう何回も"お姉さん"と連呼されれば
執拗な嫌がらせにしか聞こえないのは
気のせいではない、と思う…
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1178人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やよい(プロフ) - ryoさん» こんばんは、コメントありがとうございました！何だかすごく褒めて頂き光栄です(>_<)ありがとうございます、嬉しいです。これからも更新頑張りますのでよろしくお願い致します！ (2020年3月17日 23時) (
レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - ちなつさん» コメントありがとうございます！すごく昔に書いたお話のリメイクなので自信無かったんですが、気に入ってくださって嬉しいです(^^)実は、私もちなつさんのお話私読みに行かせてもらってます。笑 なのですごく嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年3月17日 23時) (レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - まりさん» コメントありがとうございます！一気読み、是非ともしてもらいたい。笑 なので私も更新頑張りますね(^-^) (2020年3月17日 23時) (レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
ryo(プロフ) - 初コメ失礼します。とても素敵なお話で、とても楽しみに読んでいます。ちゃんとした小説を読んでいるようで文章力の高さに感心致しました。これからも素敵なお話沢山作って頂けると嬉しいです！ (2020年3月17日 19時) (レス) id: cb9873671c (このIDを非表示/違反報告)
ちなつ(プロフ) - めっちゃ面白いです！この作品大好きです！ (2020年3月17日 0時) (レス) id: e54f0cecc3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やよい
| 作成日時：2020年3月16日 16時
