S M I L E : )

Stand by you. 3 ページ38

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｢………。｣
(ナナ、喜んでくれんのかな)



お店で可愛くラッピングされた紙袋を
片手にぶら下げながら
一人、マスクの下に隠れた事を良いことに
ニヤニヤ緩む口元を気にもせず
カフェまでの道を
ただゆっくりと歩いていく。


ナナの働くカフェは穴場だから、
車では入って行けないような
そんな不便な場所に立地している。


さらに、普通に歩いていても
簡単には気付かないような場所にある。
まさに、知る人ぞ知る隠れ家的な場所だった。


皆はきっと嫌がるかもしれないけど、
俺は嫌いじゃないし、
むしろ、気に入っている 。



あと少し、



この角を曲がれば、
ようやく待ちに待ったカフェに到着する。



そんな時だった___



裏口の狭い通路から男女の話し声がして
嫌な予感から無意識に足を止めていた。



『ナナ、北ちゃんの事好きなの…？』


「そんなの剛典君に関係な…」


「ちょっ、やめて…！｣


『関係ある、って言ったら…？』



ナナは、どうする？



少しずつ、二人の話し声が
はっきり聞き取れだした時には
もうナナが岩さんに
壁に押し付けられたような格好で…


まともにその瞬間を目撃してしまった俺は
少しばかり動揺して、



「え、ナナ…？」



状況は良く分からないままに
ナナの名前を口走っていた。



『……っ、北ちゃん！！』



俺のナナを呼ぶ声はしっかりと
本人の耳に届いていたらしく
岩さんの腕の中から強引に抜け出した彼女は
俺の名前を叫びながら腕にすがるように
ぎゅっ、と腕を絡ませた。



その姿に何故か、
胸が苦しくなって…



気付いた時にはナナを
ぎゅっと強く抱きしめていた。


自分の中の本能が、



"彼女を守れ"



そう強くシグナルを出しているような
不思議な感覚だった。



「ナナ、大丈夫？」


『………っ！』



なるべく刺激しないように
ナナの顔をそっと覗き込んで、
優しく静かに問いかければ


彼女は、急にハッとした様子で
自分の腕の震えを隠すように
その手を抑えながら俯いて
静かに頷いた。



「ナナ、もう大丈夫だよ」


「俺がそばに居るから」






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