S M I L E : )

You drive me crazy. ページ31

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見慣れた店内の窓際から見える風景を
ぼんやりと視界に入れながら、
北ちゃんの定位置だった座席のセットをするのが
最近、私の日課になりつつあった。


今日もいつもと同じように
テーブルを布巾で拭いて、
行き交う人の波を眺めては
無意識に探してしまう北ちゃんの姿…



｢…………。｣
(忙しいのかな)



今日で数えて2週間、
久しぶりに剛典君と対面したあの日以来
北ちゃんがお店に来店する事は無かった。


昔ならさほど気にならなかった事なのに、
あんな風に気まずい空気に飲み込まれた後だけに
気にならない訳もなくて
無意識に作業の手が止まり、溜め息を吐いた。



｢………。｣
(もう来てもらえないかも)



あの日、剛典君が帰った後、
そそくさと



『ごめん、俺も今から仕事あるから行くね』



なんて、取って付けたような嘘を言って
その場から去っていった北ちゃん。


あの時は私も気まずくて
特に引き留めたりもしなかった。


だけど、あれから
カフェに来なくなった北ちゃんに戸惑って
悩んだ末に昨日思いきってLINEを送った。


北ちゃんから返ってきた返事は、
私の予想に反していつも通りの反応だった。



北ちゃん久しぶり、LINEありがとね!

北ちゃん今日は、生放送があるからお店には行けないけど

北ちゃん明日は絶対行くから、待ってて!




｢………。｣
(剛典君の事、聞かれるかと思ってたのに)



あまりにも淡白すぎる内容に
拍子抜けしたのは私の方で、
LINEを送るまでのドキドキ感だとか
緊張して手が震えた過程を振り返ると
何だか呆気ない返信に
変な脱力感を覚えたのだった。




｢………。｣
(北ちゃんにとってはどうでも良い事なのかも)



なんて、一人解釈して
複雑な気持ちから苦笑いで
再びテーブルを拭き直す。


そんな私の挙動不審な行動を見ていた
先輩スタッフの里奈さんが
背後からすかさず口を開いた。






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