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Wait for your contact. ページ8

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「北人さん、どうしたんですか…？｣



一人遅れて寮に帰ってくるなり
上機嫌な北人さんがリビングのソファで
真剣な表情でスマホをじーっと眺めていて
気付いた時には思わずそう声をかけていた。



｢無駄だよ、樹｣


｢さっきから北ちゃん、ずっとこの調子だから｣



呆れ顔でテレビから視線を逸らさずに
そう言ってマイペースに話す健太さんと、
北人さんを横目に見ながらにこにこ笑顔で
のんびりをスマホを弄る翔吾さんは
こちらに視線を向けると小さく微笑んだ。


一方、噂の的である北人さんは、



｢やっぱり最初は食事かな、や、映画とか？｣


｢んー、でも、ショッピングとかも良いかも｣



うーん、なんて独り言を言っては
時々唸り声を上げて首を捻っている。



｢……………？｣
(どういう状況なんだろう)



ますます様子の可笑しい北人さんに
少し戸惑いながらも、台所に移動すると
洗い物を片していた
陸さんの横に並ぶようにして
冷蔵庫から水を取り出した。



｢変なの…｣
(俺の言葉も聞こえてないみたいだし)



俺が水を喉に流し込んでぽつり、そう溢せば
片付けを終えた陸さんがくすくす笑うと
俺と肩を並べて立ち、



｢あー、北ちゃんね…」


｢まぁ、今日はしょうがないんじゃない？｣


｢前からずっと気になってた女の子と｣


｢やっとお近づきになれたらしくって｣


｢帰ってきてから、もうずーっとあんな感じ！｣



と、にっこり笑いながら俺にそう告げた。
北人さんに好きな子が出来た事は
分かりやすい人だから本人が言わなくても
周りの人にはバレバレだった。


ただ、そこで、その相手が誰だとか
色々と聞いて探りを入れてみても
頑なに口を割ろうとしない辺りが
本気で惚れてるんだと分かる。



｢そっか、そういう事か…｣
(最近ずっと北人さん、彼女居なかったし)



ようやく北人さんにも春が来たのか。
そう思うと少なからず俺も自分の事のように
口元が緩む。


応援できる相手かどうかは分からないけれど、
俺が少しでも北人さんの力になれるなら
その時は力になろうかな…



｢北人さん、頑張って｣



ゆっくりと背後からソファに近寄って
北人さんの肩をぽん、と叩けば、
当の本人はいきなりの応援に戸惑いながらも
くしゃりと表情を崩して
嬉しそうに笑って言った。




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