S M I L E : )

I wanna be your boyfriend 2. ページ25

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スマホをベッドに放り投げ、
ようやく俺に意識を集中させた壱馬は
面倒くさそうに頭を掻きながら
ぽつりとそう言った後、



『そういや、岩さんの仕事が忙しすぎて』


『それが原因で別れたとか、』


『そんな感じの事、臣さん言ってたわ』



と、そう付け加えて
自分の知ってる限りの情報を話した壱馬は
真っ直ぐに俺を見つめる。


岩さんと彼女が昔付き合っていた事は
薄々、俺も感付いていた。
だけど、



「じゃあ、嫌いで別れた訳じゃないって事じゃん｣


『いや、そんな事までさすがに知らんて…』


『てか北人、聞く相手間違ってるやろ』


「いや、まぁ、それはそうなんだけどさぁ…｣



気になって思わず口から出てしまった台詞に
半ば呆れ気味な壱馬の冷たい言葉が
容赦なくピシャリとシャットアウトした。


苦々しい空気に耐えきれず
渋々部屋を後にすれば、



『あ、北人さん、お帰り』


「……樹、｣



何時、帰ってきたんですか？



なんて、壱馬の部屋から出てきた事には
特に疑問も浮かばないのか
風呂上がりで濡れた髪を
タオルでごしごし拭きながら笑いかける樹。



「…………っ、｣
(もしかして俺、失恋確定した感じ？)


『え、ちょっと、北人さん？』



放心状態で焦点の合わない視界に映るのは
キョトンとした表情をした樹で…


生憎、今の俺に樹とふざけてる余裕なんか
どこにも無かった。


苦笑いを浮かべる元気すらない俺は
ただ無表情なまま、



「ごめん、今日はもう寝る…｣


『……え、早っ』



言葉少なめにそう告げて
樹の横をすり抜け、
自分の部屋に向かって歩き出すと、
背後から



『ちょっと、北人さん？』



事態の読み込めない樹のそんな声が響いた。
だけど俺は、構わずその場から立ち去った。





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