S M I L E : )

I wanna do is lose control 3 ! ページ16

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『あのさ、ナナちゃん…』


「………。｣
(私って、本当に最低)


『おーい、ナナちゃん？』


「え、あっ…！｣



話の途中で黙り込んで
放心状態になった私の顔の前で
手を軽く振りかざした北人さんによって
我に返った私を見た彼は、



『バイト、疲れた？』


『何か、無理に連れ回してごめんね』


「え、や、そんな事ないです｣


「そうじゃなくって、えっと…｣



申し訳無さそうに、
しゅん、として眉間に皺を寄せ謝る北人さんに
慌てて首を振って、
必死に否定の言葉を探す途中で…



｢……わっ！｣



突然、ぐいっ、と手を引かれて
ぎゅっと抱き締められて驚いてしまった。



｢あの、北人さ…？｣



きゅっ、と背中に回る手の力は
次第に強くなって北人さんの胸に顔が当たる。
微かに感じる北人さんの心拍数が速い。


久しぶりに感じる、
男の人から抱き締められる感覚と
ふわりと微かに香る、知らない香水の匂い。
それに酔いしれてしまう。


そんな暖かい胸の中で戸惑う私に、



『………あ゛』


『うわ、ヤッバ、ごめん…！！』



北人さんがハッ、と我に返ったのか
勢い良く私から体を引き離した。


真っ赤な顔をして顔を背けた北人さんに
つられて私まで顔が赤くなる。



『本当、マジでごめんなさい！』


『ずっとナナちゃんの事、好きだったから』


『我慢出来なくて、つい…』



うーわ、今のはさすがにアウトだわ。
ほんっと、俺やらかしたな。
どうしよう、俺、マジ変態じゃん…



パニックに陥ってるのか
早口でぶつぶつ嘆きながらそう言って
真っ青な顔をして片手で覆うように隠し、
その場に天を仰ぐと盛大な溜め息を一つ。



｢………あははっ！｣
(ヤバい、可愛い)



きゅっ、と締め付けられる胸の痛みは
日増しに強くなって
これは元彼とダブるからとかでは無くて
北人さん自身の魅力に酔ってるんだと実感する


もっと知ってみたいな、
この人の事を…




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