Bitter Sweet 4.

Trust each other 5. ページ5

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気付けばAと出会った頃から
今まで本当にあっという間で、
いつの間にか季節がもうすぐ冬を迎える事を知る。



『高台だからかな、少し冷えてきたね』


「…ああ、そうだな」



陽が傾き、少し暗くなり始めれば
肌寒さを感じて俺に身をすり寄せてくる辺り
やっぱり気紛れで猫みたいな奴だと
ふっ、と息を吐くように笑みが溢れた。


Aを抱き寄せて
ぎゅっ、と腕の中に閉じ込めれば
その居心地が良かったのか



『ふふっ、相変わらず体温高いね、佐智雄』


「…だから、毎回勝手に体温奪うなよ」


『えー、嫌だ、寒いもん』


「お前なぁ…」



寒いから絶対離れない、とばかりに
ぴったりと俺の中に引っ付く、Aの姿に
口では不満を漏らしながらも
本当は甘えてくるAが愛しくて堪らない。


そんな俺は、緩む口元がバレないように
Aを更にきつく抱きしめた。
すると、



『佐智雄、さすがにそれは、ちょっと苦しい…』


「ああ、悪い…」


『…………。』


「……？」
(何だよ)



苦しいと唸って苦笑いでこちらを見上げたAに
慌てて力を緩めてやれば、
目が合った瞬間Aがにやり、と
俺に向かって悪戯に笑ったのが見えた。
かと思えば、そのまま俺の頬に手を添えて
ぐっと背伸びをしたAが唇を寄せた。



「………っ！」


『…………。』



不意討ちのキスを喰らって目を丸くして
言葉を失ったまま呆然とする俺に、
Aは頬に手を添えたまま
顔をみるみる赤く染めて苦笑いを溢す。
そして、



『たまには、こっちも仕返し！と、思ったのに』


『思ったより恥ずかしい、これ…』


『ねぇ、佐智雄どうしよう、どうしたら良い！？』


「は……？」
(どうしようって、何だよ)



途端に赤かった表情は青ざめていき
俯いたまま、あたふたしながら助けを求めた。
相変わらず忙しないAの姿に
間抜けな声を漏らして少し呆れたものの
このまま、やられっぱなしなのは
どうにも俺の性に合わなくて…




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