Bitter Sweet 4.

Trust each other 4. ページ4

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そんな風に月日が流れ、
ようやく自宅療養が終わり
外出禁止も解かれた今日___


何時もの歩道橋ばっかじゃ芸がない。
そう思った俺が連れてきたのは
この辺りでは有名な景色を一望出来る高台。



「久しぶりだな、ちゃんと外で会うのは…」


『ふふっ、本当に、久しぶりだよ』


『ずっと外出たくてうずうずしてたんだから！』


「ああ、おかげで、こっちは」


「お前の愚痴ばっか聞かされて最悪だったな」



手摺に凭れながら高台から臨む街並みを見下ろし
嫌がらせのようにそう言って
ふっ、と笑ってやれば…



『もう、また、そんな意地悪言う…』



案の定、
またぶつぶつと不満を漏らすAの姿に
思わず苦笑いを浮かべてしまった。


そこからは、Aが俺の腕を軽く叩くまでが
此処最近のAと俺の間での一連の流れ。



「おい、やめろ、痛ってぇ」


「その毎回、叩く癖どうにかなんねぇのか…」


『じゃあ、佐智雄が意地悪言わなきゃ良いんだよ』


「意地悪じゃねぇし、事実だろ？」


『あー、ほら、また！』


「だから、それ、やめろ、ははっ！」


『あははっ、やだ、やめなーい！』



俺の腕を飽きるまでバシバシと叩くAに
やめろと口では言いながらも止めずに見守った。
こんな風にのんびりしていられるのも今日だけだ。
明日からAが仕事復帰すれば
また俺達はしばらくすれ違いの日々が続く。


そう思うと、時間の許す限りは
この下らないやり取りをするのも悪くないか。
なんて、そんな事を頭の片隅でぼんやりと思ったんだ。



「そういや、私服で会うのも何時ぶりだろうな…」


『あー、そう言われるとそうだね…』


『私が土日も仕事だから会えるのは平日ばっかりだし』


『そうなると、佐智雄は制服で私も普段着だもんね』


「ああ、だから何か、変な感じだな」


『そうだね、でも私、佐智雄の私服姿も好きだよ』


『オシャレだよね、何気に』


「おい、"何気に" は余計だろ、ふざけんな」


『ふふっ、さっきの仕返しだよー！』


「仕返しにもなってねぇよ、お前本当、馬鹿だな」
(さっきのだと褒め言葉だろ、普通に)



ずっと付き合ってからこれまで
思えば喧嘩らしい喧嘩をAとした事がない。
それは多分、Aのふわふわした性格のおかげだ。


俺が毎度、嫌味を言っても本気で怒らないし
どちらかと言えば上手く交わされんのは俺の方だ。
そう考えると、Aが俺より一つ年上ってのも
どこか納得出来る気がした。


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