Bitter Sweet 4.

Trust each other 3. ページ3

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それを確認した俺は、
そっとAの首へ腕を回して
その華奢な首元にネックレスを戻した。



『…うそ、絶対もう失くしたと思ってた』



再び俺の手によって舞い戻ったそれに
Aは驚きの声を漏らすと
まじまじとネックレスを見つめて
存在を確かめるようにぎゅっ、と握りしめた。



「牙斗螺のアジトで俺が拾って、」


「そこからずっと預かってた…」


「それからは、お前の容態ばっか気にしてたから」


「すっかり返しそびれちまってたけどな」



Aが意識喪失した時の事は
正直、今でも思い出したくもない嫌な記憶で
言うならば俺にとってはトラウマみたいなもの。


それでも、あの日が無ければ
今が無かったのも事実だ。



『やっぱり佐智雄が持っててくれたんだね！』


『佐智雄なら絶対気付いてくれる、って』


『信じて本当に良かった…』



本当に失くしたと思って諦めていたのか
首元に収まったネックレスをじっくりと眺める
その顔が分りやすく綻んでいた。



「俺がお前にやったんだ、見落とす訳ないだろ」


『うん、でも本当にありがとね、佐智雄』


「ああ、けど、次また見付けられるとも限らねぇ」


「だから、もう二度と外すなよ」



ぽん、と頭の上に手を乗せて
次はねぇぞ？と目で訴えて見せれば
Aは少し目に涙を滲ませながら



『…うん、そうする、絶対外さない！』



そう言ってしっかりと頷いた。
ようやくあの日からやり残していた事を
全て消化出来たように感じて、



「……………。」
(これでまたお揃いだな)



俺もAの元に戻った揃いのネックレスを
しばらく眺め、２人仲良く微笑んでいた。






そうして、
Aは翌日無事に退院となった。
退院して、すぐまだ仕事復帰とはいかずに
自宅療養を強いられる事になり
当面の間、外出禁止を言い渡されたAは



『もう傷も治ってきたし、こんなに元気なのに…』



と、会う度に小さな不満を漏らして俺を困らせた。
俺が宥めても虚しくAの嘆きは収まらず
それを見兼ねた両親が説得すると、
漸く諦めたのか渋々それに従っていた。




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