Bitter Sweet 4.

Come together as one 3. ページ19

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『…つつ、司さんっ、あの人っすよ！』


『あの方が元清邦女子のAさん、っていって』


『この辺りじゃ、有名な美人って噂の人物で』


『いやー、俺、今本人に会えて超光栄って感じっす！』



すかさず隣に佇んだ金髪男の腕を掴むと
必死にAの存在を伝えようと騒ぐ。
余りにも興奮するそのパンチパーマの姿に
隣にいた金髪男も呆れたのか、
はぁ、と盛大に溜め息を漏らした。
そして、



『おい、ジャム男』


『分かったから、少し落ち着けよ…』


『鳳仙の奴等も居んだぞ、みっともねぇ真似すんな』



興奮しきりのパンチパーマの男の言動に
眉をひそめ、目付きを鋭くさせながら
溜め息混じりに目の前に立つその男を諭した。
ただ、それでも納得いかない様子のその男は、



『けど、司さんだって言ってたじゃないっすかぁ…』


『そんな誰もが認めるような美人なら』


『俺も一回位は会ってみてぇもんだな、って』



冷静沈着な金髪男の制止に屈することも無く
尚もギャーギャー騒ぐパンチパーマの男。
どうやら、こいつが前に楓士雄の話してた
ジャム男って奴らしい。



『…あのなぁ、それはお前があんまり煩せぇから』


『適当に合わせてやっただけの話だろ？』


『大体、相手は鳳仙の上田だぞ』


『頭の女に手出すほど、飢えてねぇよ…』



ジャム男の騒がしさに嫌気が差したのか
眉間に皺を寄せ、ジャム男に詰め寄ったそいつは
飢えてねぇよ、とやけにその部分だけを
強く主張してまた盛大に溜め息を吐いた。



『ははっ、司の言う通りだな！』


『サッチーとAちゃんに割って入れる奴なんか』


『どこ探したってそうは居ねぇよ、ははっ！』


『あっ、そういやさぁ、この前も此処で二人が…』


「…………。」
(おい、お前まで余計な事言うな)



Aと俺、その話の当事者である俺達二人を
完全に無視して次々と行われていく会話に
呆然としながらその場に立ち竦んで
お互いに顔を見合わせ苦笑いを溢した。



『ねぇ、佐智雄、鬼邪高の人達って…』


『何時もあんな感じなのかな？』


「さぁな、そんな事、俺に聞かれても知らねぇよ…」
(ただ、お喋りな奴が多いってのは事実だな)



ジャム男やら、楓士雄がお喋りすぎるせいなのか
あの司って奴がやけにまともな人間に見えてくる。


雰囲気さえ違えど、どこか冷静なその姿は
隣でニヤニヤ笑ってる小田島に似た所があって
敵に回したら厄介そうなオーラを放っていた。



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