Bitter Sweet 4.

Come together as one. ページ17

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楓士雄とやり合うと決めて向かった高台で
出会したのは仲間の沢村と妹の唯が
二人、仲睦まじく座っている姿だった。


確かに俺は、レッドラム絡みで
唯に危害が加わらないよう沢村に護衛を頼んだ。
けど、まさかそれがきっかけで
二人が付き合う事になるとは思ってもない訳で…



「…おい、唯、沢村！」


『佐智雄！』
『嘘、お兄ちゃん、何で…！？』



白目剥いて気絶するほど衝撃的な場面に遭遇して
黙って見過ごせるはずもなく、気を取り直して
思わず二人に向かって叫べばその声に反応した
沢村と唯が同時に振り返って目を見開いた。



「何でって、それはこっちの台詞だ」


「お前等、まさか俺に隠れて」


「こそこそ付き合ってんじゃねぇだろうな」



俺が二人に抱くこの感情は恐らく怒りと言うより
可愛がってきた娘を取られた親心みたいなもんだ。
早くに親父を亡くした俺達兄妹は、
お袋一人の力だけで此処まで育てられてきた。


月日が流れ、物心付いた頃からは
俺が唯の親父代わりとなって
ずっと大切に守ってきたつもりだ。


その役目をいきなり奪われた挙げ句、
一番近しい仲間にすんなり託せるかと問われたら
間違いなく、今の俺の答えは "NO" だ。


そうして、納得のいかない複雑な想いを抱えたまま
俺が沢村に詰め寄ろうとした所で、



『ねぇ、佐智雄、待って、少し落ち着こう？』


『ねっ、お願い！』



気絶していた俺が意識を取り戻したと知るなり
慌てて沢村との間に入り、仲裁しようと
Aが俺の胸にしがみついてくる。



「…A、お前、何時から知ってた」


「さっきお前が隠そうとしたの、これの事だろ」



ぎゅっ、と強くしがみついて
必死に抑えようとするAの姿に
不覚にも可愛いと思ってしまい
少し気持ちが揺らぎそうになるのをぐっ、と堪え
そう問いかければ、



『…そうだよ、今日たまたま、唯ちゃんに会って』


『そこで話聞いちゃって、あ、でも…』


『此処で会う事になってたのは知らなかったから』


『驚いたでしょ、ごめんね、佐智雄』



たまたま今日唯から聞いた話を、
俺に黙ってた事を詫びて申し訳なさそうに
眉間に皺を寄せながら顔を伏せ
苦笑いを浮かべたAに、


いや、何でそこでお前が謝るんだよ
お前は何も悪くねぇだろ___


始めはそう思って理不尽な怒りを向けようと
してしまったものの、
Aなりに俺の複雑な気持ちを察して
言葉にした結果なんだろうと思い直し
浮かび上がった怒りを一人鎮めた。



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