Pass out 6. ページ14
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「…………。」
(あー、本当に逆効果だったみたい)
私の予想に大きく反して、
ゲラゲラ笑い始めた志田君と仁川君の姿を見て
分かりやすく項垂れる佐智雄と
申し訳ない気持ちで苦笑いになる私。
どうにかしてこの状況を打破しようとして
有剣に助けを求めるべく、
ちらり、と視線を向ければ…
『まぁ、佐智雄がAちゃん絡むと面倒臭ぇのは』
『今んなって始まった事でもねぇからなぁ…』
『俺は別に、何も思っちゃいねぇよ』
『だから、佐智雄も気にすんなって、な?』
任せとけ、とばかりに私に目配せしたくせに
有剣の出した助け船は火に油を注ぐような物だった。
すかさず、
『おい、お前も全然フォローになってねぇよ』
『余計話がややこしくなんだろ、ふざけんな』
ムッとする佐智雄を余所に
私が慌てて、まぁまぁ、と宥めたりして
沢村君以外の四天王メンバーと一緒に
皆で雑談を交えながらゆっくりと階段を登った。
すると、階段を登りきった先で
『おい、あれ、沢村じゃねぇか?』
『しかも、女と一緒かよ!』
『…馬鹿、仁川、声でけぇよ』
一足先に到着していた仁川君と志田君が
何やら少し揉めているのに気付く。
一瞬、微かに聞こえてきた"沢村" と "女"
その2つのフレーズにピンときて、
「…ああ、ヤバい」
(だって、確かさっき…)
唯ちゃんが沢村君と会う約束をしていたのが
まさか、この場所だったとは思わず
この後に起こるであろう出来事に頭を抱えた。
だからと言って
この状況が打破出来る訳もなく…
『何だ、沢村も来てるのか…』
『アイツ、今日は用があるんじゃなかったのか?』
沢村君が居ると聞いて隣を歩いていた佐智雄は
少し前を歩く有剣に向かって問いかけた。
すると、どうやら有剣もこの状況を
まだ理解してない様子で、
『さぁ、俺は何も聞いてねぇけど?』
大して気にしてない素振りの有剣が振り返って
あっさり答えたのを横目に私は一人焦りだす。
「ねぇ、多分、人違いじゃない、かな…?」
「えっと、その、あっ、そうだ!」
「たまたま沢村君に良く似た人だった、とか?」
「坊主の人って沢山居るし、きっと人違いだよ!」
何とも苦しいフォローをしながら
なるべく佐智雄の視界から
唯ちゃんと沢村君を見えないようにしようと
あらゆる手を駆使して誤魔化そうとすれば、
『おい、A、お前何か隠してるだろ』
すかさず、ジロッ、と目付きを鋭くした佐智雄が
浮かび上がった疑惑を突き止めようとして
私の腕をがしっ、と掴んだ。
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やよい(プロフ) - あゆりんさん» こちらにも、コメントありがとうございます!一番と言ってくださって本当にめちゃくちゃ嬉しいです(>_<)ありがとうございます! (2020年2月20日 12時) (レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
あゆりん - きゅん&にやけが止まりません!ハイローさちおの話色んな人の読みましたが、やよいさんのが1番好きです!! (2020年2月13日 0時) (レス) id: 6f977409f8 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - maaaaaさん» こんばんは。こちらにもコメントくださって本当にありがとうございます!私の書き方細かすぎて読み難い方も居ると思うんですけどこうして理解して下さる方が居ると本当に安心します、笑 これからもこのスタイルで頑張っていきますね、笑 宜しくお願いしまーす(о´∀`о) (2020年2月12日 22時) (レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
maaaaa(プロフ) - おはようございます!最後まで読ませて頂きました。もう感無量といいますか、、めちゃくちゃ幸せな気分になりました!表現の仕方が本当にお上手で、読む度に世界観に引き込まれて気付けば顔がニヤけてしまっていることが多々ありました笑 次回作も楽しみにしてますね! (2020年2月7日 9時) (レス) id: 36f120d549 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - あゆりんさん» こんばんは、コメントありがとうございます。一番目標にしてる事を言ってくださり本当に嬉しいです(^-^)ありがとうございます!ようやく完結出来ましたが、まだまだ他にも書きたい子は沢山いるので飽きるまで頑張っていこうと思います! (2020年2月6日 23時) (レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やよい | 作成日時:2020年1月20日 6時