新人店員は遅れてやってくる ページ3
.
威勢の良い第一声にびっくりして思わず反射的に肩を震わせたものの、目の前に現れた彼の顔をまじまじと見てみれば、何処か見覚えがある風貌のような気がして…
『えっ、と…』
んー、明らかに初対面では無いと思うんだけどなぁ
絶対見たことある顔なんだけど誰だっけ？
ああ駄目だ、全然名前が出てこない…
そんな事を考えながら、1人首を傾げていた私を見て、どうやら彼も同じ事を考えていたようで。お互いに顔を合わせたまま、少しして目の前の彼がハッとした様子で目を見開くと大声を上げる。
「…ええっ！？ちょっ、待て待て、マジか。和泉サンじゃん！俺、くっさんの友達でローレン・イロアスって言います。前に大学の通路でくっさんと喋ってた時にくっさんのこと呼びに来たのって和泉サンだよね？」
『あー、あの時の…？そっか、何となく見覚えあるなぁってさっきからずっと思ってたんだけど…』
「あー、じゃあもう確定だ。それ俺っす。ハハッ！」
大学の講義で次が葛葉とペアでの課題発表だった時、まだちゃんと準備が終わってないのに葛葉がふらっとその場から居なくなっちゃって。それで私がめっちゃ焦って探してたら、葛葉は通路で呑気に誰かと喋ってたんだよね。
それで、私が慌てて葛葉の事を引きずって何とか講義室まで呼び戻したんだけど。つまり、まぁ、その時喋ってた相手がローレン君だったって訳で。
『あははっ。あの時、めっちゃ焦ってたからちゃんと挨拶も出来ないまま立ち去っちゃって本当ごめんねー』
「待って、律儀すぎん？めっちゃ良い人やん、和泉サン！てか俺さぁ、今日バイト初日で、ここに来るまでガチで緊張してたんだけど和泉サン居てくれて本当助かったわ」
『あーそれ、めっちゃ分かるかも！私も顔見知りの人が来てくれて実はちょっとホッとしてたんだよね』
「いや、マジでそれ俺の台詞ではあるよ？本当、今日深夜シフトに和泉サン居てくれて感謝だわ」
『あはは！こちらこそだよー。じゃあ、とりあえず今日からバイト仲間って事でよろしくね！ローレン君』
「はーい、こちらこそー！んで、さっそくだけど俺は何をすれば良い？」
葛葉の友達でたまたま顔見知りのローレン君が新人さんだと知って、少しホッとした。全く初対面の人と深夜に2人きりはさすがにキツいなって正直思ってたし、何よりローレン君のコミュ力の高さとトークの上手さが本当に凄い。
ローレン君が来るまでは教育係とか絶対無理って萎え落ちしてたのに、今じゃ何だか楽しくなりそうな予感がして少しワクワクしてるんだから。私って本当に単純な思考回路だと思う。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 506人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やよい(プロフ) - realさん» ありがとうございます(˶' ᵕ ' ˶)閉店事件なんかすごい好きなんですよね。笑 同じ感覚の方が居てホッとしました。これからも頑張りますね！ (10月7日 8時) (
レス) id: 65ead64792 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - めっちゃ面白いです！わたしもlrnの閉店事件好きなので嬉しいです！更新楽しみにしてます(*^^*) (10月4日 21時) (レス) id: 3d1cb866c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やよい
| 作成日時：2023年9月26日 20時
