Ｓ Ｅ Ｖ Ｅ Ｎ # ３

シンクロ ページ12

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試合中も結構わちゃわちゃしている、湘北バスケ部の事をそうリョータが表現していた本当の意味をナナが知るのは豊玉と湘北がコート上に現れて間もなくのことだった。



「豊玉の奴ら、今年も柄悪いヤジばっか飛ばしてんな」


『あー、そういえば去年の翔陽戦もそうだったね』



試合前から、これは応援と言えるのか？と思えるほど豊玉側の観客席は小汚いヤジを連発しており、更には湘北の赤い坊主頭・つまり、桜木を一度見るや否やその髪色にケチをつけ、まるで狙いを定めたかのように一斉に桜木を挑発的な言葉で煽っていく。


だが、桜木はそれを天才バスケットマンであるが故に自身に注目が集まっていると捉え、試合前にエースにプレッシャーをかけようってわけか…と顎を触りながらニヤリとほくそ笑む。


すると、残る問題児三人組は即座に桜木にジト目を向けると声を揃えて



「「「誰がエース…？？」」」



すっかりのぼせ上がっている桜木に対してしっかりとそんな突っ込みを入れたのだが、のぼせ上がった桜木にもはやその声は全く届いておらず、ハーフコートでアップを開始していた豊玉のパワーフォアード(PF)岸本目掛けて、



「おいチョンマゲ！」


「死にもの狂いでこの天才をマークすることを勧めるぜ、無謀にも勝つ気ならな」


「どっちにしろ無駄な努力だけどよ、はっはっはっ！」



突っ込みに屈するどころか逆に豊玉サイドを盛大に煽り散らかすという手法に打って出た訳で＿＿


そうなると当然の事ながら豊玉サイドも黙っていられるはずは無く、



「コラァー10番！ボケェ！」
「生きて帰れると思うなよ赤アタマァ！」



山王工業の陣取る反対側から、更に聞くに絶えないブーイングの嵐が巻き起こる事態となり、二階でその一部始終を傍観していた沢北とナナは静かに顔を見合わせると、



「こりゃ完全に豊玉サイドを怒らせたな、湘北は…」


『まだ試合始まってすら無いのに、これって』



仲良く二人揃ってはぁー、と盛大な溜め息を漏らすとお互いに言葉には出さなかったが、



この試合、確実に荒れるだろうな＿＿



脳内で同じような事を思い描いた沢北とナナはこれまた二人揃って苦笑いを浮かべるとそっと頭を抱えたのだった。


開始前から波乱含みの様相を見せる両校のやり取りを見せられた二人は既に疲労困憊といった様子で…



「なぁ一之倉(イチノ)、ナナはまだ分かるけど、なんで沢北まで一緒になって頭抱えてんだ？」


「さぁ、なんか条件反射的なやつなんじゃねーの？」
(いや知らんけど…)



沢北とナナの見せた謎のシンクロ行動に松本が疑問を抱き、近くに座る一之倉にそんな疑問を投げかければ特に興味ないといった様子ではあったものの、一応考える素振りだけ見せた一之倉から、至極適当な相槌が戻ってきたのだった。



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