＿＿Secretive. (秘密主義者) #1 / drm

表 と 裏 / Y O U ページ49

.




『ちょっと、いや大分か、まぁ散らかってるけど、どうぞ？』



「あ、えっと、じゃあ、お言葉に甘えて。お邪魔します」



『ふはっ、もう完全に借りてきた猫状態みたいなってるやん』



「いや、誰のせいかな…？」




玄関先でドアを背にしただるくんを横目に靴を揃えて
部屋に上がったは良いものの、初めて入るだるくんのお家に
思いの外、緊張しちゃって歩き方がぎこちなくなったのを
だるくんが見逃すはずもなく指摘してくるから
私も軽く笑みを浮かべて、静かに圧をかけたりした。



そしたら、




『おっと、そこ荷物あるから危ないで？んふふ…！』




とか、笑って誤魔化してくるんだよ。
やっぱり基本、大半はおふざけに走っちゃう体質みたい。




「あれ、おかしいなぁ？ちゃんとごめんなさいするからって
さっき、確かにこの耳で聞いたんだけど…？」



『あー、それは１回耳鼻科行った方が良いかもね。
今度、俺の通ってるお勧めの病院紹介してあげるわ』



「あっ、もしもし？おまわりさんですかー？
なんかストーカーの後藤さんって人に今お家連れ込まれててー」



『いや、そのノリやめろって、マジダルいから！あはは…！』



何が怖いって、段々と私がそのおふざけに順応しつつあるから
何よりも、それが一番怖いんだよね。
私こんなふざけたりするタイプだったっけ？って
頭では疑問に思いつつも、




「じゃあ私に言うことは？あるよね。ご、からつく言葉のやつ」



『ご、ね？あー、分かった！言うわ、せーの！ごめんください』



「いや、それ、こっちの台詞だから。ごめん(を)ください」



『上手(うんま)っ！今度俺も使わせてもらっちゃおっかな』




なんだかんだで、こうやって楽しくやってるから
まぁ、良しとしとこうかな＿＿




そんな訳で通された、だるま家のリビング。
散らかってるって本人は言ってたけど、別にそこまでって感じ



何なら、私の部屋の方が書きかけの下書きとかネームで
締め切り前とかはめちゃくちゃ散らかってるからね。




『ナナ、こっちおいで。俺が湿布貼ってやるから』



「ああ、うん、今行く。ありがと、だるくん」



『ははっ、別に何もよ。てか、俺が無理やり連れ込んでるしな』




湿布の袋を取ってきただるくんにソファまで呼ばれて
先に腰掛けていただるくんの隣に肩を並べた。
座ってしばらくすると、私の足元に絡まってくる謎の物体＿＿




『こら、すいちゃん、やめなさい』



「えっ、可愛い！この子、すいちゃんって言うの？」




初耳、だるくんは猫のすいちゃんを飼っているらしい。
何処と無くだるくんてネコ科動物っぽいと思ってたけど、
もしかしたら猫飼ってたからだったりして。
猫に飼い主が似るって、まさかの逆パターンだけどね




.

表 と 裏 / Y O U→←表 と 裏 / Y O U

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す