始 ま り は 軽 率 に / Y O U ページ5
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『いや、待って?』
『また話振り出しに戻ってるって、あははっ!』
「え?待って、どういうこと?本当に分かんない!」
『あははっ!そっかそっか、これじゃ伝わらんかぁ…』
「あの、本当にごめんなさい!私、理解力無くて…」
『いーや。今のは俺の言い方がアカンかったんかもしれん』
" やから、お姉さんはなんも悪ないで? "
なんて、くしゃりと表情を崩して笑った彼に
少しだけ不覚にもきゅん、とした。
会ったばかりなのに、何をきゅん、としてるんだ。
こんな軽率にも好きになりかけるとは、馬鹿みたい。
ぽけっ、と目の前の男性に見惚れたまま
私が言葉を失くして突っ立っていると
少しして咳払いをしてみせた彼は、
どうやら改めてこの場を立て直すことにしたようで…
『てか、一旦確認しても良いっすか。一旦ね?』
「確認、と言いますと…?」
『いや、あのぉ、もしかして、っていうか…』
『もしかしなくても、今お姉さんの中で
俺がクレーマーやって認識されてる、とかじゃ…』
「え゛っ!いやいや、そんな事全然、思ってないです!」
『そうっすよね!?ですよね!?うわ、良かったぁ…』
「すいません、何か私、本当に理解力悪くて…」
『ははっ!いやでも、そうか、そうっすよね。
急にこんな怪しい奴に呼び止められたら
え、うわ、何こいつ!?ってなりますもんね。
こっちこそなんか無駄にビビらせちゃって、すいません』
全くもって噛み合わない二人の会話のなれの果てに
何故か一人納得した様子で苦笑いになった男性は
そこから急に声のボリュームが壊れたように大きな声で
ペラペラと早口でそう話し始たかと思えば、
『いや、もうね、あのー、なんて言うか
お姉さんが担当の日の配達は毎回めっちゃ丁寧やし
これのどこに文句付けんねん!ってくらい完璧なんで!』
「えっ、あ、それは、どうもありがとうございます…」
(私、この返しで合ってる、よね?)
『いや、もうね、これ、マジっすよ。
ウーバーの配達は、お姉さんしか勝たんっす!
ほんまに何時も感謝してます、あざっす…!』
「…………。」
(めっちゃ喋るなぁ、この人)
とにかく、
それしか言いようが無いほどの語り口調で
淡々とそう話した彼はそこまで言うと歯を見せながら
笑顔を浮かべると、軽く頭を下げた。
もはや、ここまで来るとチャラいなんてはずも無く
彼はめちゃくちゃ善人な方の部類に入る気がする。
さっきからずっと、さりげなくだけど
私が悪くならないように自分を下げる物言いをする。
そんな彼をクレーマー認識するなんて、絶対に無い。
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やよい(プロフ) - 凛さん» 素敵とか言って貰えて本当に嬉しいです。感謝!笑 このお話、長くなりそうなのでのんびり付いてきてくださいね^^ (2022年10月4日 19時) (レス) @page36 id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 作品が素敵すぎて完全に沼です笑 二人の絡みが大好きです❤ (2022年10月2日 23時) (レス) id: cf87f55bfc (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - nonさん» こちらこそ有難いお言葉です!一度お話書き始めると止まれないタイプなので、無理せずやっていきますね!笑 (2022年10月2日 15時) (レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 音翔さん» ありがとうございます!思い付きで始めてオチも何も決めて無いですが、完結できるように頑張りますね! (2022年10月2日 15時) (レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
non(プロフ) - 素敵な小説読ませて頂いてありがとうございます!めちゃくちゃドキドキします!更新が待ち切れないですが、お忙しいとの事体調等お気をつけてくださいね!楽しみに更新待ってます! (2022年10月1日 22時) (レス) @page25 id: 0a181b56cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やよい | 作成日時:2022年9月27日 23時