Luv ur Voice # YG (ページ39)

今日:13 hit、昨日:20 hit、合計:271,121 hit

Luv ur Voice ページ39

.

「すいませーん」

『はい、何にしますか？』

ひらりと手を挙げるなり、
さっきの男性店員を呼びつけると

｢ああ、この店で一番高いお酒、ボトルで｣

わざとらしいほどの無表情を保ったまま
しれっとそんな事を言ってのけると、
私に向かってにやりと悪魔の笑みを浮かべてくる…

「えっ、嘘でしょ、待って待って！｣

「本当すいません、もう言わないから許して！｣

慌てて彼の手を引っ込めて即座に謝れば、
彼はさぞかしそれが面白かったらしい。

肩を揺らしてクックッと嫌みな笑い方をして
私の肩に徐に手を回すと、ぐっと顔を近づけるなり
またニヤリと口角を上げてにっこりと微笑む。

YG「ふっ、分かれば良いんだよ、分かれば…｣

YG「お前、口で俺に勝てると思うなよ？｣

「……っ！｣
(ああ、何なのもう！！)

居酒屋に来てから、
ものの数分しか経っていないのに
これじゃ先が思いやられる。

そう感じて、はぁ、と重い溜め息を吐いて
頬杖片手にカウンターに項垂れていけば
隣の男は何を言うでもなくじっーと私の顔を眺めて
黙っているから…

「何なの、人の顔見てジロジロと…｣

私を怖がる例の若い男性店員から手渡されたばかりの
ボトルウィスキーをぐいっ、と勢いよく蓋を開けて
ロックグラスにウィスキーを注ぎ入れる彼。

グラス片手にそれを喉に流し入れる彼を横目に
私は私で一番安いビールを飲みながら
ムッとした表情のまま、そう言うと…

彼は何故か少ししてから、
照れたような素振りで確かめるように問う。

YG「ヤァ、お前、さっき言ったのは本心か…？｣

「え、さっき…？｣

「私、何か言ったっけ？｣

最初こそその正体に気付かなかったから
彼の事をSUGAさんと呼んでいたし、
堅苦しいしゃべり方もしたけれど…

もはや、そんな事も忘れて
いつも通りの自分をさらけ出してキョトンとする私に
ユンギはグラスをドン、とカウンターに戻して
大きく目を見開くと…

YG「だから、さっき言ってただろ…？｣

YG「俺の、顔が良いからとか、ナントカって…｣

だんだん語尾を小さくして言葉を濁す辺り、
彼は自分を格好いいとはっきり断言する事には
少し謙遜があるらしかった。

世界的なトップアイドルのくせして
何を今更、そこまで照れる必要があるんだろう？

それくらいの事、
大勢のペンに言われて慣れてそうなのに

本当、変な人＿＿

.