T R I G G E R .. #2

Blow one's brains out 6 ページ6

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「予定なんか無いって」


「北人さんが一番良く知ってるくせに…｣
(多分、もう陸さんとは居られない)



必死にそれを悟られないように
苦笑いで誤魔化しながら
否定の言葉を口にして北人さんを見れば
その視線の先に…



｢……っ、｣
(嘘、どういう事…？)



街路樹を抜けた先にある噴水広場のど真中には
一際、大きなツリーのイルミネーション。


その光に照らし出される沢山のカップル。
その姿に紛れるようにして、
陸さんが綺麗な大人の女性と手を繋ぎ
二人で笑っている光景が目に飛び込んできた。



『ナナ、どうかした？』



私が急に立ち止まったのを気にして
同じく足を止めた北人さんは
私の顔を覗き込むように背を屈めると
心配そうに眉を潜めるから、



「ねぇ北人さん、彼処に居るの…｣


「陸さん、だよね？｣


『え…？』



恐る恐る震える手で
陸さんらしき人物を指差して
北人さんに知らせれば、
北人さんは少し驚いた表情をしながらも
私の指差す先へとゆっくりと視線を合わせた。



『…………。』


「やっぱり｣
(私なんかよりすごくお似合いに見える)



北人さんは口には出さなかったけれど
静かに私の問いかけに頷くと
私の様子を心配そうに確かめてくる…



｢別に、平気だよ…｣


｢こうなる事も覚悟してたから｣



"距離を置く"なんて言葉は
ただの都合の良い建前でしか無くて
一度離れてしまったお互いの気持ちや、
純粋に陸さんを好きだったあの頃の私には
到底、元に戻せない事も
本当は最初から分かっていた…



｢………。｣
(不思議だね、陸さん)



あんなにも
好きだったはずなのに…



もう私の心は陸さんを好きだった意思とは
別の方向へと動き出している。


そして、それはもしかしたら
私だけじゃなくて
陸さんもそうなのかもしれない。



「陸さんの心は…｣


「きっと、もう此処には無いんだよ｣


『ナナ…』



まったく、人間という生き物は
なんて独りよがりな感情ばかりで
図々しい生き物なんだろうと、つくづく思う。


自分だって北人さんに惹かれているくせに
陸さんが他の女性と居る姿は耐え難く
ひどく腹立たしくて悔しい。
そして、無性に悲しくてたまらない。



｢馬鹿みたい、私…｣
(一体どうしたいんだろうか)



苦笑いでそう溢した台詞と共に
無意識に流れた一筋の涙の滴がぽとり、と
頬を伝い地面に落ちていった。


その涙を見た北人さんは
さりげなく私の首に腕を腕を回して
優しく私を包み込んだ







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