T R I G G E R .. #2

Blow one's brains out 5 ページ5

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｢あ、居た…｣
(リハーサル中みたい)



樹君から聞いた話によれば、
今回北人さんが出演するのは
地方ローカルのテレビ局が主催する
スペシャルドラマで
内容はシリアスなサスペンスらしい。


ちなみに北人さんの演じる役は
犯人に殺害された被害者の恋人役で
途中まで犯人だと疑われてしまう
そんな難しい役柄だとか…


樹情報によると、
とても倍率の高かった役を見事に勝ち取った
北人さんの意気込みは
とにかく半端ではないみたいで…



｢………っ、｣
(あんな顔も出来るんだ)



普段はふわふわしている事の多い北人さんが
今日はやけに真剣な表情をして
リハーサルの最中も監督や他のスタッフと
何度も確認を重ねていたりして
初めて見たその姿に胸がどくん、と高鳴った。



｢………。｣
(すごい緊迫してる)



しん、と静まり返った現場に響く
沢山のスタッフさんの声。


さらに主演の女優、男優が姿を現せば
一気に現場の空気は緊迫したムードに包まれていき
撮影はどんどん順調に進んでいった。








しばらく続いた撮影も落ち着き、
一旦休憩を挟んだ所で
こっそり見学していたところを
まんまと北人さんに見つかってしまって…



『撮影終わったら一緒に帰ろうよ』



ふわりと柔らかく笑った北人さんの何気ない一言に
何故だかすごく嬉しくなってしまった。


その言葉に素直に従って、
北人さんの事をただじっと待っていた。
すると、



『ナナ、お待たせ』


「あ、北人さん…｣



今日やらなければいけないロケでの撮影収録が
ようやく片付いたらしく、
北人さんはすっかり私服に着替えていて
いつも通りの姿で現れた。



『俺、今日はバイト無いんだよね』


『ナナは？』


『この後、予定あんの？』


「え、予定…？｣



あっ、そうか
今日はクリスマスだった…



さりげなく自然に繋がれた手や
慣れない北人さんのエスコートに
ドキドキしながらも隣を歩く。


私達の頭上を彩るのはクリスマスの為にと
綺麗に飾り付けられた街路樹のイルミネーション。
青く輝く光のツリーはきらきらと眩しい。


受験の事や陸さんと距離を置いた事で
すっかり頭の隅っこから抜け落ちていた
冬の一大イベント。


もし、陸さんとこんな事になっていなければ
きっと今頃は＿＿



｢………。｣
(陸さんと見てたはずの景色、か)



北人さんからの何気ない問いかけに
ふと、陸さんの面影が浮かんで
悲しくなったりして我が儘な感情はずきん、と
胸を痛ませてしまう。
だけど…





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