T R I G G E R .. #2

Third party. 3 ページ14

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ただその代わり、
こうして俺の学校に近いカフェで待ち合わせて
時々、北人さんとの惚気話を聞いたり
しょうもない相談に乗ったりしている訳で…



『ああ、北人さんにはちゃんと言ってあるから』


『だから、全然大丈夫！』


『それに、樹く、ん…』


『じゃなくて、樹(・)とはお友達だからって』


「はっ？」


「いや、ちょっと待ってください｣


「俺とナナ、何時から友達になったの」



けろっとした表情をして
先程頼んだカプチーノに口をつけながら
俺を勝手に友達認定していると話す彼女に
いささか納得いかず話を遮れば、
彼女は、少しキョトンとしたような顔をして
目をパチパチまばたきさせながら首を傾げる。



『えっ、違うの…？』


『確かに樹君って最初は年下のくせに生意気で』


『近寄りがたかった印象だけど…』


『でも、今では私の良き相談者だし…』


『私はもう友達かなぁ、って思ってたのに…』


「ああ、そうなんだ｣
(てか呼び方、また戻ってるだろ)



彼女の発言のあちこちに散りばめられた
聞き捨てならないフレーズに
いちいち反応して突っ込みを入れて
訂正したかったけど…


とにかく、まぁ、突っ込み所が多すぎて
諦めに似た溜め息でそれを誤魔化した。


第一に、あの食えない北人さんが
ナナと会っている俺を
容認している事が無性に引っかかった。


簡単に言えば、北人さんから見て
俺は彼女の恋愛対象には入らないと
最初から決めつけられているようで
どうにも気に入らなかったんだと思う。


それに、俺の事をあっさり
友達と言い切ってしまうナナの姿…


極めつけには、簡単に呼び方も
樹“君”に逆戻りしてしまう始末＿＿



そんな煮え切らない現状に
いい加減嫌気がしてしまったのかもしれない。



「俺は、ナナを友達と思った事なんか｣


「はっきり言って、一度も無いし…｣


「ぶっちゃけ、ナナと居ると疲れ半端無いんだけど…｣


『ねぇー、そんなはっきり言わなくても良いでしょ！』



何度も何度も溜め息を吐き、
少し心の中に渦巻く闇の一部が喉を通って
口からするりと滑り落ちていく。


今までずっと気付かないようにしていた
しこりのような感情を
自らの手で抉り出すような…


そんな事はまるで自虐行為だと
頭では分かっているのに
止められないほどに苛立ちが募って仕方ない。







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