7 Days Wonder ..

#DAY 5. Fall into the abyss. 4 ページ24

.




『ねぇ、見て、すごい綺麗！』


「あー、良かった、まだやってた」



あれからナナに電話をかけて
先程、別れた場所で待ち合わせた俺達は
国際通りを歩きながら
デパートが開催しているクリスマス期間限定の
イルミネーションを見に来ていた。


遅い時間だったから、
さすがに出店は閉まっていたものの
それでもクリスマスツリーを色鮮やかにする
イルミネーションはまだ点灯していて…



『ねぇ、健太！』


『せっかくだし、もっと近くで見ようよ！』


「うん、良いよ｣
(喜んでくれて良かった)



色鮮やかなツリーに導かれるように
目をキラキラ輝かせたナナは、
一気にテンションが上がったらしい。



『うわー、これ、可愛い…』


「あははっ、そんなに焦んなって！」
(あー、めちゃくちゃ可愛い)



俺の腕をしっかりと掴んだナナに
ツリーの目の前までグイグイと
半ば引きずられるような形になりながら
その前に立たされていた。


更にナナのテンションは上がって
ツリーを見比べて、
どれが一番か綺麗か選ぼうとか
はしゃぎだすから堪らなく愛しく感じた。



「ナナ、楽しい？｣
(俺はその姿見れただけで満足だわ)


「うん、すっごく楽しい！！｣


「あははっ…！｣
(だろうね)



地元のイルミネーションなんて見慣れた景色。
だから、これと言ってそんなに感動も無い
そんな俺とは正反対に
この時間をしっかりと満喫するナナ。


そのナナの笑顔が眩しいほど可愛くて、
たまには下手な観光客になるのも悪くないか


と、何度も小さく笑みを溢しては、
ただじっとナナの楽しむ横顔を眺めていた。



「あそこ見て、健太！｣


「てっぺんに星とか月のオブジェあるの可愛い…｣


「あー、本当だ｣
(俺はナナの方が可愛いと思う)



沖縄に着くまではずっと表情が暗くて
何処か不安気な瞳をしていた彼女。


それが今、目の前にいる彼女は
明るくてふわふわと無邪気に笑っていて
まるで別人のようだった。





.

#DAY 5. Fall into the abyss. 5→←#DAY 5. Fall into the abyss. 3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す