7 Days Wonder ..

#DAY 5. Fall into the abyss. ページ21

.





「俺にナナの7日間をください」


「ナナが沖縄に居る一週間、」


「俺と一緒に過ごしてくれませんか？」



さんざん迷った挙げ句、家族や友達よりも
彼女と一緒に居る事を選んだ俺を
バカな息子だと怒るかもしれない。



だけど、飾らない俺を
こんなにも知って欲しいと願ったのは
彼女が初めてだったんだ。



数時間のフライトを終え
那覇空港にようやく到着した俺達は
ひとまず、キャリーバック片手に
ナナの宿泊先であるホテルに
向かう事にした。


タクシーに乗り、
移動して目的地に到着すれば
ナナの宿泊先のホテルが見えてくる。


チェックインをしたナナを見守る横で
ついさっき、タクシーで予約したばかりの
俺のホテルの場所を確認。


それを見て、俺は一人満足気に
ナナの肩を叩いて
顎で自分の泊まるホテルを示して見せた。



「ナナ、ほら、あそこ」


『え、あれが健太の泊まるホテル？』


「うん、ナナのホテルの向かいだった｣


『そっか、健太のホテル近くて良かった』


「……ははっ、マジでそれよ」
(いや、めっちゃ探すの苦労したからね)



機内で二人で話した時に聞いて
事前に入手していたナナの宿泊先。


その情報を頼りにすかさずスマホで検索。
近場で空きのあるホテルを探した際に
たまたまネットでヒットした一件のホテル。


わざわざ地元の沖縄に帰省しといて
ホテル取るのもどうかとは思ったけど
俺がナナに頼んで始まった事だから
少しでもナナの時間を無駄にしないように
それぐらいはしてあげたかった。


さすがにクリスマスシーズンも重なって
同じ宿泊先は満室で取れなかったけど
離れ離れになると思っていたナナは
隣接するホテルを見上げてホッと安堵して
ようやく肩の力を抜いた。


安心して脱力したナナの姿を見て、
俺も同じように安堵から溜め息を吐くと
お互いに顔を見合わせて微笑んだ。


沖縄に観光目的の女性が一人で
夜に出歩くのはさすがに少し危険だ。


治安も昔よりは遥かに落ち着いたと思うけど、
土地勘が無い彼女に何かあったらと
不安が俺の脳裏を過って仕方なかった。



『良かった、これなら安心だね…』


「まぁ、何かあったらすぐ行ける距離だから」


「何時でも呼んで」



タクシーでこのホテルに来る途中、
何かトラブルにあったらいけないから、と
車内でお互いの電話番号とLINEを交換した。


とりあえずこれでナナと
行き違いになる心配はほぼ無くなった。




.

#DAY 5. Fall into the abyss. 2→←#DAY 4. I don't care. 6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す