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I'm so upset ! ページ2

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どん-かん【鈍感】
感じ方や感覚が鈍いこと。







慎とは事務所のレッスン生時代からの付き合いで、
小さい頃から互いに夢を追って
頑張ってきた大事な仲間だ。


壁にぶち当たってくじけそうになったり、
逃げ出したくなった時には
お互い励まし合ってここまでやってきた。


途中で、私は事務所を移籍してしまったけど
何とか無事に歌手としてデビュー出来たし、
女優としても時々ドラマに出させてもらってる。


そのおかげで、
今では"次世代の歌姫"だとか
"国民の妹"なんて呼ばれるまでになった。


一方の慎も、先輩のサポメンを経てから
THE RAMPAGEのパフォーマーとして
デビューしたらあっという間に脚光を集めて
スターへの階段を順調に登っていた。


レッスン生時代からよく帰りに寄っていた
事務所近くにあるお気に入りのカフェ。


お世話になった古巣の事務所に
呼び出された帰り道、
目に入ったその外観にふと懐かしさを感じて
ふらりと立ち寄った店内に
見覚えのある背中を見つけた。



「本当すごいよね、慎は…｣


「どんどん有名になっちゃって｣


『うわ、それって嫌味？』



レジに並ぶ後ろ姿を見て
わざとらしくそう言って見せれば、
少しムッとした表情で振り返った相手は
ぽつり、とそう言った。


偶然にも鉢合わせた彼との久々の再会に
心踊ってしまった私は、



「あ、まこっちゃん居たんだ？｣


「全然気付かなかったよ｣



と、更にわざとらしくそう言って
ふふふ、と笑って見せた。


すると彼は一瞬呆れた表情を浮かべたけれど、
髪をガシガシと掻き乱してから、
ふっ、と息を吐いて笑った。



『最初から分かって言ってただろ？』


「あ、バレてた？｣



口に手を当ててえへへ、と笑った私に
彼はまた呆れた表情で、
溜め息混じりに



『バレバレだし…』



なんて小さく呟いて、
そのまま私に視線を合わせて
にやりと笑って見せると、



『姿が見えなくても声ですぐ分かるから』



そう言って、私の頭にぽん、と手を乗せて
くしゃりと笑った慎の姿に
私の胸はぎゅっ、と締め付けられた。


私がずっと彼の背中ばかり追いかけて
見てきたから分かるように、
彼は彼で、その声だけで
すぐに私だって気付いてくれる。


そんな些細な一言が、
私にとっては嬉しいのだけど…







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